2009年ごろ、何かの調査で「最近の若者は友達を作ることができない。作り方がわからない」という傾向があると聞いたことがある。だからと言って友達がいらないわけではなく、「欲しい」という願望がある。その憧れの象徴がメンバー同士の仲の良さで知られるアイドルグループの嵐。それからワールドカップ南アフリカ大会(2010年)で男同士の結束を見せた、サムライブルーなのだそう。彼らの人気ぶりは確実に実力によるものだけど、その理由の末端に「友情とは何なのかを体感したい」という若者たちの願いも一票、加わっていたのでは? と思う。
それから10年近く経過した。今の若者世代は直に友情を育むどころか、アプリで友人を確保することに安堵を感じているのだと思うと、なんだか寂しくなってしまう。
若者よ、アプリを捨ててマスクをして街に出よう。一人の世界もなかなかいいものだぞ?
【プロフィール】こばやし・ひさの/静岡県浜松市出身のエッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター。これまでに企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊以上。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。