国内

廃業を決めたホスト「続けることに耐えられなくなった」理由

クラスター発生が明らかになった時期、歌舞伎町では新宿区職員らがホストクラブなどに新型コロナウイルス対策を呼び掛けた(時事通信フォト)

クラスター発生が明らかになった時期、歌舞伎町では新宿区職員らがホストクラブなどに新型コロナウイルス対策を呼び掛けた(時事通信フォト)

 クラスター発生など様々なニュースの影響もあり、すっかり人が少なくなった夜の街だが、新宿などでは相変わらずホストの写真が大きくプリントされた大型アドトラック(広告宣伝車)が何台も走っている。ならば、新型コロナウイルスによる影響は言われるほどではなく、ホストたちの仕事はどうにかなっているのかといえば、そうでもないようだ。ライターの森鷹久氏が、コロナ禍をきっかけにホストを辞めた元売れっ子ホストの本音を聞いた。

 * * *
「世の中が変わったと感じましたし、何よりこれ以上続けていくことに耐えられなくなったということです」

 新宿・歌舞伎町のホストクラブで、新型コロナウイルスの集団感染、いわゆる「クラスター」の発生が発覚したのは6月のことだった。この時、筆者は複数のホストや関係者に取材をし、そのうち3名が感染者で、1人はその後ホストを辞めた。辞めた彼は北陸地方出身、専門学校へ通う為に上京し、知人の誘いでホストクラブのボーイのバイトを始め、数年前にホストになったという室井陽太さん(仮名・20代後半)だ。室井さんは指名数ランキングで上位を維持する売れっ子だっただけに、意外な決断に見えた。

「3月の真ん中くらいからですかね、客がガクッと減って、マジでやばいよね、という雰囲気になりました。自分含めた店のナンバー(指名の上位ランキング者)はなんとかして客を集めていましたが、若手は相当きつかったと思います。出会い系サイトやSNSで女の子を引っ掛け、消費者金融から金を借りさせてまで店に来させたり、客に高額の売掛け(支払いのツケ)をして脅迫する奴もいました」(室井さん)

 こうしたトラブルは、一部は事件化しテレビ報道されることもあったが、ほとんどは表沙汰になっていない。

「ホストも苦しいので、あの手この手で新規の客を呼ぼうとしました。金を借りさせる、風俗で働かせる、というのは定番。当然トラブルになりますが、女性もやましい気持ちがあるのか、被害に遭ったと警察に駆け込んだりはしません。はっきり言って、ホストは女性から金を巻き上げてナンボ、優しい強奪なんです。だからホストをやっていられるし、ホストがこれだけ増えたんです」(室井さん)

 今から20年ほど前、まだ今ほどホストクラブが数多く存在せず、世にも認知されていなかった時代にホストになり、現在は都内でアパレル販売会社を営む西山朱雀さん(仮名・40代)が、かつての「ホスト」についてこう解説する。

「あの当時のホストは、お金持ちや経営者の女性の相手をする仕事、という認識でした。男がキャバレーや風俗、クラブに行くようには、女性は遊びに行かないのが普通でしたから、ホスト遊びする女性は特別な存在だったんです。だから、ホストはかっこいいだけでなく、とことんまで客をもてなす。枕(肉体関係)や色恋(恋愛関係)になる、なんてことも少なかった」(西山さん)

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン