プライドが高い「人たらし」

 3年間で実感したのは、菅さんは徹頭徹尾「根回し」の人だということ。記者が海外の支局に栄転することがあればお祝いをするなど、細やかな配慮を怠らない。「人たらし」ですね。だからこそ記者クラブを味方につけ、思いのままにすることができたのでしょう。

 用意周到な「根回し」は、記者会見でも発揮されていました。事前の質問取りを徹底して行なうことで、菅さんの意に添うよう質問も統制されていた。その徹底ぶりから、「予測できない質問・討論」を極力避けたいという強い意志を感じました。そういうものが苦手なのかもしれません。プライドが高く、もしかしたら安倍さんよりも「自分のカッコ悪いところを見せたくない人」なのかもしれません。

 だからこそ、私のような思い通りにならない記者が嫌いなんです。「コイツは俺への嫌がらせのために記者席に座っている」くらい憎まれていたはずです。

 菅さんが首相になったら、安倍さん以上に「首相の考え」は国民に届きにくくなるでしょう。

 強大な権力を持つほど、その人の本質は出てしまうものです。菅さんは過去に、「総理のご意向」という記述があった加計学園を巡る文部科学省の記録文書を、強引に「怪文書」と断じました。首相になれば、今後そういう場面がもっと増えてくるでしょう。

 何度も言うようですが、記者の後ろには国民がいることをもっと心にとめてほしいですね。

 出馬会見(9月2日)で「総理になった時、きちんと番記者の厳しい追及を含めて応じるつもりはあるのか」と聞きましたが、答えずはぐらかしました。菅さんにその技量はないし、無理なお願いなのでしょうか。

 私がもし「総理番」になったら、菅さんはどう思うでしょうね。

※週刊ポスト2020年9月18・25日号

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