国内

教員を助けるスクール・サポート・スタッフ、報酬低すぎ問題

学校はオンライン授業など多くの対策を迫られ、教員の仕事も増えた(時事通信フォト)

学校はオンライン授業など多くの対策を迫られ、教員の仕事も増えた(時事通信フォト)

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う長期休校が明けたあとの学校は、休み中の学習の遅れを取り戻すために超過密スケジュールとなり、教員の多忙さも深刻になっている。そうしたなかで教員を支援するとして増員しようとしているのが、「スクール・サポート・スタッフ(SSS)」である。

 長い休校で在宅学習ができた子とできなかった子の学力格差は広がっており、それを同じ教室で教えなければならない教員の負担は大きくなっている。それだけでなく、「新型コロナ感染予防のために、『くっつくな』とか『マスクしろ』と怒ってばかりだし、検温に消毒とそれまでになかった仕事も増えてますます時間は足りないし、肉体的にも精神的にも疲れ果てています」(公立小学校教員)という状態にある。

 そんな多忙な教員を支援するのがSSSの役割だ。教員に代わって授業の資料作成やコピー作成、PTAアンケートの配布や回収などの雑務をこなす、いわば“学校の便利屋さん”だ。多忙になる理由として「雑務の多さ」をあげる教員は多い。それだけに、SSSは必要とされる存在ではある。

 SSSは、教員の多忙化解消のために文科省が2018年度予算に盛り込んだことで実現した。ただし、それによって確保された人数は3600人にすぎなかった。2020年度当初予算で4600人に増やされたものの、全国に約2万ある公立小中学校の全部に配置することはできない状況だった。

 大きく変わったのは、新型コロナがきっかけだった。対策のための第2次補正予算で、2万600人を増員するための予算として38億円が計上されたのだ。7月30日に全国連合小学校長会や全日本中学校長会、全国高等学校長協会の会長らと面談した萩生田光一文科相は、「スクール・サポート・スタッフなどの人的支援のための予算措置をしたので、ぜひ校長先生がたから自治体にも声を上げていただき、活用いただきたい」と、増員に胸を張ってみせた。

 しかし、これが実現しても1校に1人しか配置できない。補正予算案で文科省はSSSの仕事内容を例示しているが、「子どもの健康観察の取りまとめ」「分散登校などの登校支援」「教室内の喚起や消毒」などが挙げられている。これに、先述した本来のSSSとしての仕事も加わる。それを1人でこなさなくてはならないわけとなると、負担は大きい。1校1人の配置では、効果的に教員のサポートをすることは難しいだろう。

 にもかかわらず、SSSの報酬は高くない。例えば東京都江東区の募集要項を見てみると、報酬は時給1050円となっている。東京都の最低賃金が1013円なので、それよりほんの少し高い設定でしかない。これは全国的に同じような状況であり、パート・アルバイトほどの報酬でしかないのだ。

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン