ただし、どんなに気をつけても、誤嚥リスクをゼロにするのは至難。とくに男性は女性に比べて、加齢による嚥下機能が衰えやすいことも分かっている。いざ水を誤嚥してしまった時、重症化しないよう、日頃から「口内環境」を整えることも重要だ。
誤嚥の際に口内の雑菌が肺に入ることで、誤嚥性肺炎などを招く恐れもある。桜美林大老年学総合研究所所長で誤嚥に詳しい鈴木隆雄教授が語る。
「老化とともに誰しも口内環境は悪化し、唾液にも細菌が混じりやすくなる。睡眠中など、無意識のうちに唾液が肺に入ってしまう『不顕性誤嚥』も怖い。
そこで重要になってくるのが、日頃の『歯磨き』です。一日3回、毎食後の歯磨きはもちろん、入れ歯も清潔な手入れが必要です。基本のキである歯磨きが、誤嚥時の明暗を分ける重要なファクターなのです」
口内細菌のなかでも歯周病菌はとくに危険性が高く、誤嚥時の重症化リスクを上げる。
「かかりつけの歯科医で歯周病菌を除去しておくのもいいでしょう」(同前)
水に“飲まれない”よう、正しい知識を持って残暑を乗り切りたい。
※週刊ポスト2020年9月18・25日号