もともと原作漫画のファンだった二階堂は、難航する映画化プロジェクトを実現させるべく、自ら動いてクリエイターたちと対話したことをファッション誌『Numero TOKYO』のインタビューなどで明かしている。それだけ情熱を持って『リバーズ・エッジ』という作品に臨んだということだろうが、いくら情熱があろうと、同じことができる役者はたしかに希少な存在だろう。CDB氏は、二階堂の魅力についてこう分析する。
「二階堂ふみさんが日本でズバ抜けているのは、そうしたセルフプロデュースの力、広い視点から社会と作品を見る力です。『ぐるナイ』のレギュラーを受けた理由も『知名度を上げたい』、卒業した理由も『女優に専念したい』と、おそらく自分で決断しており、はっきり自分の意志を言葉にします。小泉今日子さんが女優からプロデューサー業に転じましたが、小泉さんと『ふきげんな過去』で共演した二階堂さんにも若くしてそうしたセンスがある。広瀬すずさんをはじめ、彼女への尊敬と憧れを隠さない後輩女優が多いのも、そうした自立心、考える力への憧れだと思います」(CDB氏)
ところで二階堂は2013年、「不思議ちゃん・天然ちゃんイメージは脱却できたから、そろそろサブカルとかこじらせっていう類のイメージを脱却したいな☆」とツイートしていた。こじらせはともかく、二階堂が“サブカル”と評されることは今も多い。
とはいえ、二階堂のことをサブカルと呼ぶ人々も『エール』や『ぐるナイ』出演について全く知らないわけではないだろう。“サブカル”のイメージを強く持った上で、超メジャーにも自分をぴったりはめていける。そんな離れ業を可能にしているのが、卓越した客観視の力なのかもしれない。
●取材・文/原田イチボ(HEW)