国際情報

中国がアルゼンチンに養豚場を建設計画 同国民から猛反発

アルゼンチンは親中国だが、反対の声は大きい

 アルゼンチンで政府が中国との間で締結した養豚場建設に関する協定に反対する声が高まっている。すでに40万人以上のアルゼンチン国民が協定に抗議し、養豚場の建設計画を中止するよう求める請願書に署名している。また、首都ブエノスアイレスでは連日、協定に反対するデモや集会が開かれており、数万人が参加している。協定反対の理由は養豚場建設や、その完成後の豚の糞尿の処理に伴う環境破壊、疫病の発生などを懸念しているためだ。英BBC放送が報じた。

 この協定は昨年11月に中国側から要請されたもので、この7月にアルゼンチン政府が協定に合意した。

 中国は世界最大の豚生産国であり、その飼育数は4億4000万頭を越え世界の豚の総数の半分を占めていた。しかし、2018年からのアフリカ豚コレラの流行で何百万匹もの豚を殺処分したほか、養豚農家が疫病の流行で豚の飼育をやめたことで、中国の豚肉生産量が半減してしまったのだ。

 中国農業農村省(日本の農林水産省に相当)が昨年実施した、全国の1500の養豚農家を対象にした調査では、半数以上の全体の55%が養豚場経営を断念。22%が当面様子をみるとし、継続すると答えたのはわずか18%に過ぎなかった。

 中国にとって、豚肉は国民食ともされていることから、中国政府は、南米の親中国であるアルゼンチンに対して、中国向けに輸出する豚肉を生産するための養豚場建設計画を持ちかけたというわけだ。

 協定によると、中国はアルゼンチンに総額で35億ドル(約3700億円)を投資し、同国内に25カ所の養豚場を建設。年間で1養豚場当たり平均1万2000頭の豚を飼育する。豚肉の生産量は4年間で900万トンに達する計算で、年間225万トンだ。アルゼンチンの2019年の年間豚肉生産量は63万トンなので、中国への輸出量はその約4倍弱となる。

 アルゼンチンのフェリペ・ソラ外相は「この協定が発効すれば、数千人の新規雇用が見込まれるほか、輸出額も飛躍的に伸びることになる。中国との貿易が増加すれば、わが国の財政赤字も近い将来、解消する可能性が高い」と指摘している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
「参政党パワー」の正体とは(神谷宗幣・代表)
叩かれるほどに支持が伸びる「参政党パワー」 スピリチュアリズム勃興の中で「自分たちは虐げられていると不安を感じる人たちの受け皿に」との指摘
週刊ポスト
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン