そして、意外に知られていないのが、「人情味丸出し」というところ。代表作『新五捕物帳』は、正義感の強い岡っ引き・新五(杉)が、庶民の小さな幸せのために奔走するという物語。得意の合気柔術で悪人たちを素手で次々投げ飛ばす(ホントに投げてます)立ち回りシーンにはびっくりだったが、それよりなにより、新五が涙もろいのに驚いた。
事件に巻き込まれた子供、わが子を心配する老いた母、そんな人を見かけると、新五はぽろぽろと泣くのである。かと思えば、杉良太郎企画・原作・脚本・主演・主題歌の『医師 問題無ノ介』の主人公は、名医にして剣の達人(杉)で一応、庶民の味方だが、その口癖が「問題なーい」と結構、いい加減。お金大好き、美女にも弱いという二枚目半の顔も見せている。実は人を笑わせることも大好きで、インタビューの中では志村けんさんのために特製焼酎を贈っていたことなど、知られざる交流も語られた。
自身もさまざまな病で危機も経験してきた。苦しい人たちに向けて、「大丈夫だから」「深呼吸して違う世界を見たら、やっていける」という言葉、この人から発せられると、やっぱり深い。