各知事に「ウェルカム」のメッセージを求む
各社とも、安心・安全な旅行を提供しようと工夫をこらしていることはよくわかるが、この先、日本の旅行需要が本格的に回復するには何が鍵になるのか。前出の星野氏は、全国の知事が率先して、旅行をしたいと考えている消費者の心理面の壁を取り払うことが肝要だと指摘する。
「この7〜8月、東京以外のGo Toトラベル実施による感染爆発も起きず、旅行需要は少しずつ戻りつつあります。東京発着が対象になれば、需要はさらに戻るでしょう。観光業としては、引き続き3密回避を徹底しながら、これまでのマイナスをいかに取り戻すかが大事になります。
地方から東京への旅行者は、大都市圏でのプロスポーツや音楽イベントなどの入場制限緩和次第で戻るでしょう。問題は、多くの東京の方が“地方へ旅行していいのか”と感じてしまっていることです。
6月の緊急事態宣言解除を前に、首都圏在住の2万人を対象に調査を実施したところ、回答者の3割以上が『東京から行くと嫌がられるから行こうと思わない』と回答しました。5月の連休前後にあった、各都道府県知事の『来ないでください』というメッセージのインパクトはそれだけ大きかったのです。各知事は今度は『全国どこからでもウェルカムです。旅行に来てください』というメッセージを強く出すべきです」
感染リスクをコントロールしながら、いかに新しい日常を営んでいけるかが今後の課題であることは言を俟たない。特に甚大な影響を受けている旅行業界では、「ずらし旅」「3密対策ツアー」のような旅のかたちが定着すれば、感染拡大防止と経済との両立を図ることができるだろう。
なにより、旅行好きにとっては「ずらし」のような“新しい旅行様式”をベースに考えることが、旅の楽しみを発見する好機となるはずだ。