国内

新しい旅行様式は「ずらし」がポイント 移動手段も食事も

秋の行楽シーズンはこれからが本番。「ずらし」で新しい発見を(イメージ)

 10月1日から「東京除外」が解除されることで、いよいよGo Toトラベルキャンペーンが本格的に始まる。秋の行楽シーズン本番を迎え、キャンペーンの盛り上がりが期待されるが、旅行者にとっては“感染リスクが気になる”という人もいるだろう。何をどう対策すれば、安心して旅行が楽しめるのだろうか。

 これまでも、星野リゾート代表の星野佳路氏が提唱した「マイクロツーリズム」という考え方により、同じ都道府県内や隣県への小旅行をする人は少なくなかった。今後は、こうした近隣旅に加えて、新幹線や飛行機などを利用した遠方への旅行需要の復活が期待されている。

 実際、9月の4連休では全国の人気観光スポットに人が押し寄せ、その混雑ぶりが報じられた。多くの人は“旅をしたい”と思っている証拠だろう。旅行ジャーナリストの村田和子氏は、今こそ遠出の旅行もチャンスだという。

「訪日観光客がいない今、旅は信じられないほどリーズナブル。たとえば『ひさびさ旅割引』(JR東海ツアーズ)の場合、東京発着で新幹線を利用し、大阪で1泊のツアーは2万円を切っています。さらにGo Toトラベルを適用すれば、ここから実質半額となり(10月からの地域共通クーポン還元含む)、関西への1泊旅行が1万円かからない。通常は新幹線の片道だけで約1万4千円ですから破格です。遠出も気軽にできるので、念願だった場所へ出かけるチャンスです」(村田氏)

 新幹線だけではなく、飛行機やバスを使った旅もお得なプライスになっているのが現状だ。村田氏がこの秋冬の旅行を勧めるのは、価格の安さだけが理由ではない。

「私自身、夏に埼玉の秩父や京都、北海道を旅行しましたが、それらを通じて“旅の力”を再確認しました。旅は人の心を豊かにし、日常の元気をくれます。旅の経験を通じて『次はこうしたい』『こんなことに挑戦しよう』など意識が自然と未来を向くのも、旅のもつ大きな力だと思います。自粛続きで、その感覚を忘れてしまっている人が多いのではないでしょうか」(村田氏)

 そんな“旅の力”を再認識するために、これから実践したい新しい旅行様式を見ていこう。

今こそ遠出のチャンス。往復交通費や宿泊代などが含まれるパッケージツアーにはお得なプランも(時事通信フォト)

移動手段そのものでは感染リスクは低い

 最近、JR東海が「ずらし旅」という概念を提唱し話題になっている。旅をする時期や場所、旅先での行動を“定番”からずらすことで「3密(密接、密集、密閉)」を避け、かつ旅の新しい楽しみを発見しよう、というコンセプトだ。

 この間、旅行業界だけでなく、日常のあらゆる場面で「人との接触を減らして3密を回避する」感染対策が取り組まれている。米国立研究機関の博士研究員でウイルス学・免疫学が専門の峰宗太郎医師が解説する。

「まず、大原則を確認しましょう。新型コロナウイルス感染症は、感染者の呼吸器から排出されたウイルスが飛沫あるいは接触により体内に入ることで感染します。対策の原理原則は、その感染経路を把握し、ウイルスを遮断したり消毒したりすることです。人との接触を避ければ感染経路を考えなくて済み、逆に、不特定多数の人との接触の分だけ、感染者がいる可能性が増えることになります。

 では、旅行ではどう対策すればいいか。まず気をつけるべきは、3密のどれかに当たる状況を避けることです。鉄道などの車内では、マスクをして静かに過ごすことが大事です。気分が盛り上がり、お酒を飲みながらマスクを外して大声で話したりすると、感染経路が存在するリスクが高まります。ただ、そうした大騒ぎをしなければ、移動手段そのものによる感染リスクは高くないといえます。

 旅行中の感染リスクは、宿泊先での飲食やアクティビティ、混雑する場面にあると言えますが、現在は各所で3密を避ける対策を実施しているので、そうした状況は多くは生じないでしょう。屋外で人との距離を保っていれば、感染リスクは高くありません。

 一方、ビュッフェや宴会では会話が弾んで食事やお酒で盛り上がり、3密のいずれかの状況が生じる恐れがあります。各事業者においてはあらかじめ3密を避けるような工夫を行い、それでも一時的に3密のどれかが生じた場合は、旅行者が個人としてこれを避ける行動をとって欲しいと思います」(峰医師)

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン