●「四方を住宅に囲まれた家」の“後遺症”
暴風で屋根が飛んだり、壁が壊れたりすると、雨が屋内に入り込む。そうしたケースでも、屋根や壁が修復できれば住み続けられるが、カビが発生すれば取り壊さなければならなくなり、明暗が分かれるという。
不動産コンサルタントの長嶋修氏は、昨年9月に千葉・房総半島を直撃した台風15号の通過後、現地を視察した。
「千葉県館山市では、屋根や壁が崩壊して雨に晒された家が多く見られました。その中でも、四方を住宅で囲まれた家では、風通しが悪いためにカビやキノコが発生し、家主が『建て替えるか、解体するしかない』と嘆いていた。屋根や壁は修復できますが、カビやキノコだらけになれば、住み続けられません」
●「半透明パネル」のベランダの落とし穴
お隣なのに、ベランダが壊れた家と壊れなかった家があった──そんなことが起こるのは「ベランダの素材」が原因の可能性がある。
「ベランダの囲いに半透明のパネルを採用している家があります。落下防止の観点から手すりだけよりも安全で、壁と同じ素材を使うよりも開放感があるため多く採用されていますが、これは強風の煽りを最も受けやすい。突風が吹いてパネルが外れると、ベランダの手すりが変形したり、自分の家や近隣家屋に飛んでいき破損させてしまう可能性があります」(長嶋氏)
※週刊ポスト2020年10月9日号