相続で憂いを残さないためには、遺言書を作成し、相続させたくない親族を書いておくとともに、介護をしてくれた親族を「特別寄与者」に指定し、より多く相続できるよう手配する。この時、忘れてならないのは残される伴侶に「配偶者居住権」を設定しておくこと。こうしておけば住居は遺産分割の対象にならないため、一生住み続けることができる。遺言書に書いてはいけないことにも、目配りがきいている。
元検事で弁護士の著者兼監修者は、高齢者の医療、介護、法務などのあり方を研究するNPO法人長寿安心会の代表理事でもある。シニア世代が、人生100年時代を憂いなく心豊かに過ごすための法的知識と心構えをコンパクトにまとめた。豊富な事例はあまりにリアルで、肝の冷える一冊だ。
※週刊ポスト2020年10月9日号