ビジネス

再び中国人の「タワマン爆買い」が起きても不思議ではない

晴海、勝どき、月島エリアに林立するタワマン(時事通信フォト)

晴海、勝どき、月島エリアに林立するタワマン(時事通信フォト)

 コロナ不況がじわじわと顕在化する中、不動産市場は住宅ローンの返済に窮する人たちのマイホーム売却が進んだり、高騰を続けてきた“局地バブル”の崩壊が予測されたりと混沌としてきた。そんな中、虎視眈々と日本の不動産を狙っていると見られるのが“中国マネー”だ。再び中国人による「タワマン爆買い」は起きるのか──。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がレポートする。

 * * *
 首都圏の住宅市場はかなりイレギュラーな様相になってきた。まず、テレワークの普及が思わぬ需要を生み出している。

 会社に行かなくてもよくなったけれど、自宅で仕事をするには狭かったり子どもがいたりと、今の住まいでは不都合な人々が大量に発生した。彼らが広さと部屋数を増やすために「すぐに住める」中古住宅や戸建てを購入しているのだ。都心近郊や湾岸の中古マンション、新築戸建てに需要が集まっているのはそのためだと思われる。

 だが、こういう動きも、まもなく一巡するはずだ。今後は、住宅ローンの返済に窮した人々が任意売却に向かう動きが目立ってくるのではなかろうか。コロナ不況が住宅市場に影響する新たな展開である。

 もうひとつ、東京の住宅市場の今後に予想されそうな展開がある。それは米中関係の悪化による「逃避マネー」の流入である。

 アメリカと中国は今、政治的にも経済的にも対立を深めている。実現するか否かは分からないが、トランプ大統領は「中国に新型コロナ蔓延の責任を取らせる」という趣旨の発言を度々行っている。

自らもコロナに感染した米トランプ大統領(AFP=時事通信フォト)

自らもコロナに感染した米トランプ大統領(AFP=時事通信フォト)

 よく知られている通り、中国では高位にある人々は個人的な資産を海外に移転させている。家族と資産は海外に置いて、自分も地位が危うくなったらいつでも中国から逃げ出せるように準備をしているのだ。そういった中国の高級官僚を「裸官」と呼ぶそうだ。

 彼らは自分の母国である中国をまったく信頼していない。何かあればいつでも海外へ逃亡する覚悟を決めている。

 そんな彼らが資産を移す先は、これまでは軽課税国のタックス・ヘイブンであったり、スイスの銀行、あるいはアメリカやカナダ、オーストラリアでの不動産購入だった。

 ところが、アメリカ政府は中国共産党の要人たちが海外に持つ銀行口座などの情報を把握しており、必要に応じて凍結するのではないかという情報がある。また、アメリカは言うまでもなくカナダとはファーウェイの問題があったり、オーストラリアでは内政介入が露見したりと、ここのところ英語圏諸国と中国の外交関係が悪化している。

 そういった国で不動産を所有していることに、中国人たちは不安を抱いても不思議はない。何といっても彼らの祖国では政府の命令ひとつで不動産の所有権など簡単に剥がされてしまうのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
2才の誕生日を迎えた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
【9月6日で19才に】悠仁さま、40年ぶりの成年式へ 御料牧場、小学校の行事、初海外のブータン、伊勢新宮をご参拝、部活動…歩まれてきた19年を振り返る 
女性セブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン