国内

小6が大麻吸引も 若者に広がる薬物、断れる子にするには?

SNSを通じて薬物に手を出すケースも(写真/ゲッティイメージズ)

 大麻や麻薬、覚せい剤など違法薬物にまつわる検挙者が後を絶たない。昨年から今年にかけても大物芸能人が次々逮捕され、世間を騒がせている。実はその裏で、中学生や高校生など未成年の検挙者もじわじわと増えている。なぜ、未成年者に薬物が広がっているのか。

 警察庁のデータによれば、薬物全体の検挙者数は人口減少も影響して一見減っている。だが種類別にみると、大麻や麻薬による検挙者数は増加。例えば大麻は、2019年は過去最多だった前年を上回り、4321人にのぼった。さらに年齢別にみると、未成年の検挙者数は2015年では144人だったのが、2019年では609人と、この5年で4倍以上に増えている。

「未成年においては、昨年度は高校生だけでも100人以上検挙されています。一方、小学生の検挙者も出てきています。2015年11月には、京都市内の小学6年生が、兄が隠し持っていた大麻草を見つけて吸引するという事件がありました。我々としては、若年層の薬物問題も深刻化していると感じています」(厚生労働省監視指導・麻薬対策課・以下同)

SNSの普及で違法薬物が手にはいりやすくなった

 なぜここまで薬物が若年層に広がっているのか。その背景には、10代にスマートフォンなどモバイルツールの普及率が高まったことがあげられる。

「インターネットやSNSを見る機会が増え、違法薬物の情報に触れやすい環境になりました。ネットの世界では、覚せい剤や大麻、MDMAなど複数の薬物を同時に扱っているサイトも多く、探せば何でも簡単に手にはいってしまいます。そうして入手した薬物を乱用して、中学生などが自宅で倒れて救急搬送されるケースもあります。またSNSでも容易に情報共有ができることから、若者が違法薬物に誘われるケースが非常に多い。違法薬物の存在は、保護者が考えている以上に身近になってきているのです」

 最近のケースでは、SNS上で「#手押し」「#野菜」「#アイス」といったハッシュタグとともに「いい野菜入荷しました!」「全国発送してます!」などの投稿が、写真とともにアップ。こうした投稿から取り引きの段取りをつける販売形態が増えているという。「このようなケースは薬物乱用だけではなく、代金だけ搾取される詐欺被害などさまざまな犯罪に巻き込まれる可能性もあります」と、重ねて警鐘を鳴らす。

最初のきっかけは「誘われて」がほとんど

 若者が薬物に手を染める最初のきっかけとしては、こうしたSNSを通じて、あるいは直接友人や知人から「誘われて」始まるケースがほとんどだという。そして誘われると断れずに使ってしまう。あるいは、一度は断っても心が弱っているときに再び誘われてしまうと、断り切れずに使用してしまう場合もある。

「誘われて、実際に薬物乱用に至ってしまう人の多くは、好奇心や興味本位の他、日常生活の不安や恐れ、絶望感等の“穴”を埋めるためです。特に若年層は周囲の環境に流されやすい。大麻については有害性や危険性の認識が低下していることも、手を出しやすい一因でしょう。大麻も脳に悪影響を及ぼすもので、その点、覚せい剤と何ら変わりはありません」

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン