「予備選で人気を集めたバーニー・サンダース氏のような筋金入りの社会主義者は、もともと若者を惹きつけるのが得意で、アジテーターとしての力を発揮する」と筆者が水を向けると、K氏は、「その通りだ。今の民主党支持の若者は人に頼る気持ちが強い。国家にカネがあるならそれを使って自分たちの生活を良くしてほしいと考える。大学の授業料を無料にし、諸悪の根源である大企業を解体しろといった非現実的なスローガンに飛びつく。当然、ベンチャーを目指すような者は減っている」と暗い声で語った。
そうした支持層を集めれば選挙では有利である。なにしろ貧しい人のほうが圧倒的に数が多い。しかし、大企業や富裕層からの高額の寄付は望めなくなるから、メールで小口献金を集める作戦になるというわけだ。
K氏によれば、民主党員の構成は黒人や中南米からの移民など、マイノリティの割合が年々上がっているという。しかし、今もアメリカの総人口の76%は白人である。リベラルな考えを持つ白人層の声が反映されなければ、民主党政権はうまくいかないのである。K氏は、「二大政党の一翼を担うのならば、マイノリティや貧しい若者ばかりが前面に出るのは良くない。党内でも主流派である白人中間層の声が聞こえてこない」と嘆息した。
バイデン氏が大統領になっても、党の運営も国家の運営も簡単ではなさそうである。