麻布は「普通」の学校
──では最後に、アナウンサーとしての奥義を活かして、1分で麻布を紹介してもらってもいいですか?
では1分で麻布の話をしたいと思います。
麻布というのは普通の学校だと思うんですよね。ただ、その普通というのが「社会の普通」ではなくて「世界の普通」。
「世界の普通」というのは、こうあの……、「みんなが同じものに興味をもつなんてあり得ないじゃないですか」とかね、あと「人間関係にそもそも上下なんてない」。うん。
で、無意味な競争がなければイヤなやつというのも存在しない。だけど、最低限人間として守らなければならないということは存在する。これはこれでむちゃくちゃなやつをいっぱい見てるんで、それはそれでわかるんですけど。
ただ「それを守ろうとすることに、特に努力はいらないんじゃないか」というのが人間にとっての「世界の当たり前、普通」なんじゃないかと思います。
で、これ卒業して初めて口にしたんですけど、ちょっといいこと言っている感ある気もしますが、そんな気分あんまないです。これが無意識に身につく、当たり前としてこの雰囲気が充満しているのが麻布なんじゃないでしょうか。
以上1分です!
◆取材・文/おおたとしまさ(教育ジャーナリスト)
『麻布という不治の病』(小学館新書)より抜粋