スポーツなどの祭典・コーダイフェスタ (写真/認定NPO法人大阪府高齢者大学校提供)
高齢者が元気になれば世の中は変わる
学ぶことに加えて仲間づくりも重要だという。視野が広がり、より学びが深まるからだ。
「コーダイでは午前中に授業、午後はクラスミーディングやクラブ活動(自由参加)。特にクラスミーティングは重要で、クラス委員長や班長などの役割分担を決め、年間行事の遠足やコーダイフェスタ、修学旅行などの計画を話し合います。実はこれも学習プログラムの1つ。カルチャースクールなどと大きく違う点です」
ここで培われた力を、さらに社会貢献に生かすこともコーダイの理念だという。地域活動に必要なコーディネーターの要件を学習するシルバーアドバイザー養成講座もある。修了後には約半数の人が清掃活動、通訳、地域活動の運営、傾聴、子供教室、読み聞かせなどなど、いろいろな形のボランティア活動を行っているという。
「いま65才以上の高齢者が約3600万人。総人口比の28%強です。高齢者が若者に支えてもらう時代から、高齢者が高齢者を支える時代になったといってもいい。
地域にはいろいろな高齢者の集いの場があるけれど、集まって遊ぶだけではなく、もっと学習をプラスすべき。学びは遊びよりおもしろいのです。もっと生き生きできる。高齢者自身が元気になるだけでも社会にとっては相当大きなメリットです。3600万人がそんな意識を持てば日本は大きく変わりますよ。私も77才、高齢の皆さんがんばりましょう!」
高齢者自身が学んで刺激を受けながら、周囲に働きかけていく。そんなコーダイの考え方や学習方式を全国に普及させるべく、無償で情報提供を行っていくという。
◇教えてくれた人:認定NPO法人大阪府高齢者大学校 理事長・和田征人さん
昭和17年宮崎県生まれ。大阪大学経済学部卒業後、久保田鉄工(現クボタ)入社、クボタハウス専務取締役、久保田建工社長を務め、67才のときNPO法人大阪府高齢者大学校入学。その後NPO法人大阪区民カレッジ理事長を経て現職。
取材・文/斉藤直子
※女性セブン2020年10月29日号