国内

ヤクザとGo Toイート ポイント錬金術はシノギになるのか?

暴力団員の中には『Go Toイート』で何か画策しているという…

暴力団員の中には『Go Toイート』で何か画策しているという者も…

 10月1日の『Go Toイート』スタート以降、杜撰な制度の間隙を縫ってポイントを取得する手法が話題を攫った。普段からグレーゾーンで生きる暴力団がこれを見逃すわけがない。実態をフリーライターの鈴木智彦氏が取材した。

 * * *
 取材は難航した。簡単なインチキで100万円が手に入る持続化給付金の不正受給は、けっこうな数の暴力団員が詐欺の片棒を担いでいた。ところが『Go Toイート』の不正は、ようやく証言者を見つけても、ただ単にポイントをためているだけで、肩すかしだった。

 銀行口座が持てず、クレジットカードが作れない暴力団員でも、『Go Toイート』ではポイントを受け取ることができるから、嬉しいのかもしれない。農水省に確認しても「暴力団員は対象外ということはない」という返答だったし、指定の予約サイトの約款にも、暴力団は利用できないという文言は見つけられなかった。

 ならば不正をしない限り、暴力団員が『Go Toイート』を使って責められることはない。しかしそれでは記事にならない。渋るヤクザに懇願し、ようやく都内の指定暴力団幹部が取材に応じてくれた。

「損をするのは国だけだ」

 待ち合わせの焼き肉店は混んでいた。

『Go Toイート』の予約は、取材相手の指示通り5人でブッキングした。こちらは1人だが、暴力団幹部が運転手やボディガードの若い衆を同席させるのだろう。愛人や企業舎弟を連れてくるのかもしれない。

 おおむね、規模の小さい独立団体は前時代的、言い換えれば家庭的だ。連れ歩く若い衆を同じテーブルには座らせないまでも、同じ店で食事させる。反対に山口組系のような巨大組織の多くは、まるで周囲に対するアピールのように、店の入口に若い衆を立たせ、待機させるのが定番だ。

 予約席は一番奥の半個室だった。待ち合わせ時間の約10分遅れで幹部が1人でやってきた。酒を飲まない人なのでウーロン茶をふたつ注文する。続けて幹部が「上タン塩を二人前……」とメニューを見ずに注文を始めた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン