国内

「死にたい」と言う人の危険性を見極めるための「問い掛け」

「死にたいほどのつらさ」を抱えている人も(写真はイメージ 写真/アフロ)

 日本人の幸福度調査の結果は、先進国で最低レベルだという。これだけ治安がよく、飢え死にすることもない経済大国に暮らしていながら、日本人は幸福感を感じることができないでいる。貧困にしろ、孤独にしろ、「死にたいほどのつらさ」を抱えている人が何人もいるのだ。もし、あなたの周りで「死にたい」という言葉を発する人がいたら、どうすれば良いのか? 大分大学医学部精神神経医学講座教授の寺尾岳さんがいう。

「本当に死にたい人なんて、ほとんどいません。多くの人は、“耐え難いつらさ”を抱えている状態を“死にたい”という言葉で訴えているのです。臨床現場で、『死にたい』と言う人に“いまのつらい状況の原因を取り除けば、死ななくていいんだよね?”と尋ねると、“はい”と答える人ばかりです。本当に死ぬことが目的なのではなく、つらいことから逃れるために死を選ぼうとしているのです」

 寺尾さんは、「死にたい」という気持ちを吐露する患者に対し、ある問いかけをするという。

「声に出すことでガス抜きされて回復できる人が多い。半面、本当に死にたいと思っている人もいます。患者さんに“せっかく今日ここに来てくれたのだから、あなたの傷ついた心を、これから一緒に治療していきましょう。そのために、死なない約束をしてもらえますか?”と問い掛けます。

 そのとき、“はい。死ぬなんてことはしません”と即座に言うことができる人は、本気で死にたいとはあまり考えていない。でも、“そんな約束はできない”と答えたり、無言になったりするなら、自殺する危険性が高い。すぐに入院させるべきです。いずれにしても、“本当に死ぬ人は死にたいなんて言わない”という考えは間違いです」(寺尾さん)

【相談窓口】
「日本いのちの電話」
ナビダイヤル0570-783-556(午前10時~午後10時)
フリーダイヤル0120-783-556(毎日午後4時~午後9時、毎月10日午前8時~翌日午前8時)

※女性セブン2020年10月29日号

関連記事

トピックス

実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン