単なるスケジュールの兼ね合いであれば、そのままでいいはずだが、刷り直して配られた“2つ目の創刊号”では、わざわざ平野氏の「結党大会での発言」が付け足され、紹介する人数が増えたぶん、枝野代表の言葉が削られていた。
ドタバタの背景には、新・立憲民主党の結党に至るややこしい経緯がありそうだ。2012年に政権を失った民主党は、まず維新の党と合流して民進党となった(2016年)。それが、2017年の解散総選挙の際に小池百合子・東京都知事が率いる希望の党に一部議員が合流し、合流を選ばなかった議員が「立憲民主党」を結成。どちらの党にも属さず無所属を選ぶ議員もいたが、総選挙で惨敗した希望の党はガタガタになり、選挙で生き残った議員らが集まって「国民民主党」となった。そして去る9月に「国民民主党」が「立憲民主党」に合流して現在に至る。一度聞いただけではわからない野党の離合集散の暗黒史だ。
新・立憲民主党の執行部メンバーの出身政党を見ると、枝野代表は旧立民出身で、3人の代表代行は旧立民(蓮舫氏)、旧無所属の会(江田氏)、旧国民(平野氏)で分け合う体制となった。なかでも鳩山内閣で官房長官を勤めた平野氏は“筆頭代表代行”の立場にある。
「当初、平野氏が載っていなかったのは、たまたま本人が地方を訪れるタイミングと合わなかっただけだそうですが、その紙面を見た旧国民サイドの関係者たちが騒いだようで、結果的に約2万部すべてを刷り直して平野氏を載せることになった」(前出・立民関係者)
果たして、「旧国民民主党の代表代行は機関紙の紙面から“排除します”」なんて論理が存在したのだろうか。平野氏サイドからの突き上げの有無についても気になる。立憲民主党に刷り直しの真相を聞くと、文書で以下のように回答してきた。
「当初は、機関紙第2号において平野代表代行が兼務する選挙対策委員長としての対策方針を中心とした記事等を掲載するために、第1号においては他の代表代行の記事のみを掲載することとしていましたが、やはり結党第1号の機関紙には代表代行全員の記事を掲載する方が適切であるとの判断に至りました。ちなみに、ご指摘の平野代表代行からの抗議等はありませんでした」(広報部)
機関紙『立憲民主』の一面には〈合流した新党は、新たな綱領を取りまとめ(中略)各議員が結集し、国民に新たな選択肢を示します〉と結党の決意が綴られている。その通りであることを信じたい。
取材・文/末並俊司(ジャーナリスト)