芸能

鬼才・三遊亭丈二 バカバカしい発想をシリアスに表現

三遊亭丈二が生んだ奇妙な噺に…(イラスト/三遊亭兼好)

三遊亭丈二が生んだ奇妙な噺に…(イラスト/三遊亭兼好)

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接してきた。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、圓丈一門の鬼才、三遊亭丈二が生んだ傑作落語『大発生』についてお届けする。

 * * *
 9月15日の「しゃべっちゃいなよ」で三遊亭丈二が僕の大好きな『大発生』を演るので、配信視聴券を購入した。「しゃべっちゃいなよ」は「渋谷らくご」の番組の一つだ。

『大発生』は、ある島で“中村さん”が大量に発生して島民に被害を与える噺。物語はこんなふうに始まる。

「知事、大変です! 島で中村さんが大量発生しています!」
「それって困ることなの?」
「知事は島の状態を見てないから、そんな悠長なことが言えるんです!」

 もともと中村さんはいなかったこの島に半年前、1人の中村さんが現われた。そのうち「最近中村さんが増えたな」と思っていたら、みるみるうちに島を埋め尽くし、田んぼや畑を荒らすようになったという。

「田んぼや畑を荒らさないでくださいと言えばいいじゃないか」
「それが知事、中村さんたちは野生化していて話が通じません」
「じゃあ警察に捕まえさせれば」
「何万といるんですよ! とても警察の手には負えません! 近頃では勝手に家の中に上がりこんで冷蔵庫を開けていたり、天井裏で交尾をしていたりも日常茶飯事なんです」
「中村さんは島で繁殖してるのか!」

 対策として島中に“中村捕り”を仕掛け、最初は親中村5人と子中村が8人捕獲されたものの、学習能力がある彼らは二度と捕まらず、逆に島の藤田が全滅してしまった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン