血中ビタミンD濃度が「十分」にあたる、30(ng/mL)を超えている理想的なケースでは、生存者が372名に対し、死亡者は16名とわずかです。ところが、20~30の「不十分」な群だと、生存者は26名しかいないのに、死亡者は187名と激増します。20未満の「欠乏」状態では生存者はたったの2名で、死亡者は177名にのぼります。
ここから致死率を計算すると、30を超えていれば4.1%に過ぎなかったのが、不十分で87.8%、欠乏だと98.9%にまで跳ね上がるのです。逆に言うと、血中ビタミンD濃度を30超の十分な状態に保っていれば、不十分な人たちよりも、コロナウイルス感染による致死率が83ポイントも下がるということです(別図参照)。
これを見ただけで、「なんとか30を超えねば」と思うでしょう。でも、実際には多くの日本人が10~20台であることが実状です。
マグネシウム不足と心臓疾患、糖尿病の関係
マグネシウム不足は心臓の不調の原因となります。狭心症という心臓に痛みを感じる症状は心筋梗塞の前触れとも言われ注意が必要ですが、精密検査をしても異常が見られず、原因不明と言われることも時々あります。
これは冠状動脈という心臓の筋肉に血液を運ぶ血管が「攣縮(れんしゅく)」といって、血管壁の痙攣のようなものが起きているために生じる症状と考えられています。この病態はマグネシウム不足による可能性があります。
実際に、血中マグネシウム濃度が低い「低マグネシウム血症」の患者は、心臓疾患にかかりやすいという研究結果が報告されています。その研究では、1987~89年と、1990~92年の間に採血された1万5000人弱の男女(平均年齢54歳)を、血中マグネシウム値によって5つのグループに分け、その後について調査しました。
すると、マグネシウム値が最も低いグループは、最も高いグループの1.28倍の確率で心臓疾患にかかっていることがわかったそうです。
マグネシウムには、血糖値の上昇を抑える働きもあります。このため、マグネシウム不足の状態が長く続くと、糖尿病にかかりやすくなります。