国際情報

3大ケーブルニュース「トランプvsバイデン」応援団が暴走中

トランプ大統領とFOXのショーン・ハニティ氏は蜜月関係

 アメリカの政治報道の特徴は、24時間放送のケーブルテレビニュースの影響力が大きいことだ。なかでも、FOXニュース、CNN、MSNBCの3局が視聴率でも報道の量でも抜きん出た存在である。それぞれの局は、ほとんど隠そうともせずに共和党支持、民主党支持に分かれ、かなり露骨に一方に肩入れした報道を流し続ける。背後では莫大なカネも動いていると噂される。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏が、大統領選挙最終盤のテレビ報道合戦をライブ中継する。

 * * *
 FOXニュースは、オーストラリア出身のメディア王、ルパート・マードック氏によって設立された。現在は堂々とトランプ支持を前面に出していて、共和党・ホワイトハウスと結婚したようなチャンネルだ。民主党やリベラル勢力を認めるかけらもなく、言うことなすことが全面的に、赤裸々に共和党とトランプ大統領だけを認めるケーブルテレビ局である。トランプ大統領などは、FOXをホワイトハウスの広報部門と思っているに違いない。

 FOXには、必要に応じ、トランプ大統領が好きな時、いつでも出演できるようだ。同局の人気ニュースショーのアンカーマンであるショーン・ハニティ氏は、トランプ選対本部のチーフ広報官のような存在である。トランプ大統領は彼のショーに何度も生出演し、言いたいことだけ言って去る。まさに側近中の側近といった風情だ。

 これに対抗する“左の横綱”CNNは、看板会社からメディア進出して急成長し、アメリカのケーブルテレビ時代を切り開いたテッド・ターナー氏が始めたテレビ局である。筆者は、本拠であるアトランタで彼に会ったことがあるが、ベンチャー精神に富んだ実業家で、実に気持ちの良い人物だった。ハリウッドのなかでもリベラルな立場で知られる女優、ジェーン・フォンダと結婚していたこともある。

 そしてMSNBCは、テレビの3大ネットワークのひとつであるNBCとマイクロソフトが共同で設立したテレビ局であり、マイクロソフトのポータルサイトMSNとNBCを組み合せたチャンネル名となっている。これもリベラル寄りで、“左の大関”といったところ。

 この3社がアメリカのケーブルニュース市場を支配しており、寡占状態は年々進んでいる。特に今年は大統領選挙の年だから、昨年同期比の視聴者数は、FOXが63%、MSNBCが28%伸び、CNNに至っては172%の増加を記録している。注目すべきは、昨年度はCNNとMSNBCの視聴者数を足しても“右の横綱”FOXに追いつかなかったが、今年第2四半期(6月度)の視聴者数を比べると、CNNとMSNBCの合計は、2割近くFOXを上回っている点だ。引き続き左右両陣営がっぷり四つだが、やや左陣営が押しているという構図がわかる。これは大統領選挙の情勢とも一致する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン