国際情報

韓国でインフルワクチン接種80人超死亡 杜撰管理に不信感も

韓国では「インフルエンザ予防接種」でパニックが…(イメージ、YONHAPNEWS/AFLO)

韓国では「インフルエンザ予防接種」でパニックが…(YONHAPNEWS/AFLO)

 本格的な冬将軍の到来を前に、厚生労働省が「インフルエンザ予防接種」の呼びかけを強化している。とくに重症化しやすい65歳以上の人には、各都道府県で無償接種や優先接種の措置が取られ、希望者は昨年比で1~2割増加しているという。

 そうしたなか、隣国から衝撃的なニュースが飛び込んできた。韓国の保健行政機関である疾病管理庁が、「インフルエンザワクチンの接種後1週間以内に、80人以上が死亡した」と発表したのだ。10月14日に接種を受けた17歳の男子高校生が2日後に死亡したのを皮切りに続出し、10月末時点で報告された死者は83人にのぼる。そのうち男性は46人。年代では80代が34人、70代が37人と、多くが高齢者で占められた。韓国の時事問題に詳しいジャーナリストの河鐘基氏が解説する。

「韓国では10月19日から高齢者向けの予防接種支援事業が始まり、開始から1週間の間に死亡例の報告が相次いだ。もともと韓国はインフルエンザワクチンの接種率が高く、例年8割を超えていますが、死者が続出したという発表で接種控えが広がっている。一方、韓国では昨年、インフルエンザワクチン接種後に1531人の高齢者が死亡しており、今年が飛びぬけて多いわけではないから冷静になるべきだ、との声も出ています」

杜撰な管理、異物混入も

 韓国疾病管理庁では調査組織を立ち上げて死亡事例について調べたが、接種直後に現われるアナフィラキシーショック症状を起こした例もなく「すべての死亡事例で予防接種との因果関係は非常に低い」と結論づけた。

 それでも韓国内のショックはおさまらない。大韓医師協会が全国の医師に「接種を見合わせるように」と呼びかけたほか、「ウイルス培養に使う鶏卵の毒素混入など、検査が不十分だったのではないか」と指摘する専門家の声がメディアで報じられた。

 実際、韓国では今年、48万人分のワクチンが常温にさらされたり、61万5000人分から異物が発見されるトラブルが起きている。コロナ禍のために例年よりワクチンの数を大幅に増やして準備した結果、管理が行き届かないものが出たとされている。杜撰なワクチン管理と死者続出があいまって、国民の間に不信感が広がった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン