ライフ

12年連続減少の年賀状 バッサリやめる前に考えるべきこと

年賀状は人間関係を映す鏡。老親の大切なつながりを知るためにも重要なツール(イラスト/鈴木みゆき)

年賀状は人間関係を映す鏡。老親の大切なつながりを知るためにも重要なツール(イラスト/鈴木みゆき)

 今年も年賀状を準備する季節がやってきた。日本郵便によると2021年用年賀はがきの当初発行枚数は19億4198万枚。過去12年連続の減少だ。「新年の挨拶はメールやSNSで」という人が増え、印刷会社や年賀状印刷アプリにも“年賀状をやめる”ための文例がラインアップされている。年賀状離れが進んでいるのは否めない状況だ。

 高齢者も然り。気力、体力の衰えでやめたくなるのも自然のなりゆきだが、一方で一抹の寂しさ、心苦しさを覚えるという声も聞こえてくる。コロナ禍で人との絆の大切さを切実に感じているいまこそ、高齢になってからの年賀状について見直してみたい。老年社会学の立場から、多くの高齢者への取材を重ねた年賀状についての著書がある澤岡詩野さんに聞いた。

「やめる」「やめない」の極論に「ちょっと待った!」

 年賀状はおせち料理や注連飾りなどと並ぶ正月のお約束行事だ。それも最近では、メールやSNSで年が明けた瞬間に挨拶を送るというイベントにとって代わられつつある。最新ツールで手間のかかる作業が合理化されていくのは時代の流れだが、高齢者にとって年賀状は合理化しがたい意味があると澤岡さんは言う。

「若い人なら、その気になれば誰にでも会えるし、気軽な交流ツールもたくさん持っている。しかし、高齢者の場合、なかなかそうはいきません。年を重ねるごとに人とのつながりが減っていく中、年に1回、年賀の挨拶をするという決まりごとのおかげで、出し合った相手とお互いの生存や近況を確認できる。貴重なツールでもあるのです」

 とはいえ年賀状の準備はやはり億劫なものだ。必要不可欠なことでもないのに、なぜか追い立てられるような気持ちになる。

「いまの中高年にとっては、昔から続く儀礼的な慣習の1つという面もあります。なんとなく“出すべきもの”と刷り込まれていて、さほど思い入れのない相手と思いつつ、送られて来る限りは自分も出し続けなければと思う。書く作業の負担に加えて、このジレンマがストレスになっている高齢者も少なくありません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン