今年は、原辰徳・監督にとって記念のシーズンだった。7月に長嶋茂雄氏、9月には川上哲治氏を抜いて、球団史上最多勝利監督の栄誉を達成している。ただし、V9監督である川上氏と肩を並べるには、やはり日本一の称号が必要となる。川上氏は11度のリーグ優勝を達成し、そのすべてで日本一になっている。それに対して原氏は8度のリーグ優勝を果たしているものの、日本一は3回だけ。同じ顔合わせだった昨年の日本シリーズでは、ソフトバンクに4連敗して屈辱を味わっている。
その原氏の“思わぬ援軍”になるのが、もしかすると宿命のライバルである阪神のファンたちではないかという説がある。
「11月10日の藤川球児の引退試合で、原監督の粋な演出が阪神ファンの心をつかんだ。主力の坂本勇人、中島宏之をわざわざスタメンから外し、藤川が登板した9回に代打で送り出して花道を飾らせた。藤川は全球ストレートで勝負し、坂本、中島もフルスイングで応えて連続三振。この演出のために、8回には投手の桜井俊貴を打席に立たせて野手を温存していた。ネットには、この計らいに感激した阪神ファンから原監督への感謝の言葉があふれている」(前出・スポーツ紙デスク)
古くは、2003年に原氏が監督解任された際に、当時の阪神監督だった星野仙一氏が甲子園の最終戦で「タツ、くじけるなよ。また勉強して帰って来い」と抱き寄せたシーンも阪神ファンの記憶に刻まれており、いわばその返礼となった今回の原采配で、日本シリーズには意気に感じた阪神ファンが応援に駆けつけると噂されているのだ。
そうなれば歴史的なシーンだろう。がぜん、“大阪の陣”が楽しみになってくる。『週刊ポスト』(11月16日発売号)では、巨人と大阪ドームの相性について詳報しているので、そちらもご覧いただきたい。