今後、外国人技能実習生による犯罪がさらに目立ってきても、単純に「外国人犯罪だから」と断罪するには無理がある。このところ、犯罪グループが人材スカウトをSNS経由で行うという、あまりの軽さに驚かされることが続いているが、その範囲が外国人技能実習生にまで伸びていることが明るみに出つつあるからだ。
日本国内の反社会勢力も、一般市民と同じくコロナの影響で生活に行き詰まっている。SNSを使って人集めをする「点検強盗」の背景にいるのもそうした勢力で、素人に人殺しでもなんでもいいからさせて、金を奪い取らせようとしている。その「なりふり構わなさ」は、使える人間であれば、老人だろうが子供だろうが、そして「外国人」であっても良い、というレベルまで広がっている。今、外国人を犯罪に走らせているのは他ならない日本国内の反社勢力ではないか、と思わずにはいられない。
向上心を持って海外で働くことを選んだのに、聞いていた話とはまったく違う環境に驚かされるのは珍しいことではない。だが、外国人技能実習生については、問題が多すぎる。もちろん、労働条件などに配慮している受け入れ先もあるが、人権無視の問題が今もなくならない。人手不足を賃金が安い実習生で補うという発想しかない受け入れ側が多すぎるのだ。そのような悪条件下にある技能実習生ほど緊急事態になっても十分な補償を受けられないし、助けられる機関へ繋げてくれる人も周囲にいない。となれば、誰だって道を踏み外してしまいそうにはなる。
「特に技能実習生は、その実態についてこれまで幾度も報じられてきたのに放置されたままです。コロナ禍で八方塞がりという状況なのに、まだほったらかしにされている。もちろん、泥棒などの犯罪はよくないが、日本経済や日本人の都合で連れてこられた、という側面があるベトナム人を、一方的に断罪できる状況なのかと感じずにはいられません」(大手紙記者)
平成29年時点で、日本国内には25万人以上の技能実習生が存在しているが、そのうちどれだけの人数が、帰国したくとも帰れず、仕事が減ったか全くない、という状況に陥っているのか。彼らが犯罪に巻き込まれたり、犯罪に走ったりしたことを報じるニュースに接するたびに、「彼らは日本人じゃないから」と単純に考えてはいないか。その彼らの犯罪は、悪意ある日本人が手引きすることによって起きているものも少なくない事実から目を背けてはいけない。