美智子さま(左)は、日本の『いのちの電話』創始者であるドイツ人宣教師のルツ・ヘットカンプさん(右)と交流が(時事通信フォト)

美智子さまも、日本の『いのちの電話』創始者でドイツ人宣教師のルツ・ヘットカンプさん(右)と交流がある(時事通信フォト)

 そう語る渋井さんのように、個人レベルで相談を受けつける人も増えている。その多くは善意に基づくものだが、弱みにつけ込む犯罪の温床になる可能性もある。

 2017年に発覚した座間9遺体事件の白石隆浩被告はツイッター上に「死にたい」と書き込んだ若者を「一緒に死のう」「力になりたい」と誘い出し、次々に手をかけた。

 いのちの現場を知る多くの人や専門家が口を揃えるのは、世の中には急を要する「聞いてもらいたい声」があり、その声を聞き逃すと取り返しがつかなくなるということだ。

 精神科医の樺沢紫苑さんが指摘する。

「日本人は『悩みごとは解決しないと意味がない』『どうせ他人に相談しても解決できない』と考えて相談を避けがちですが、実は完全に解決をする必要などなく、ただ誰かが話を聞いてくれるだけで自死を防げる可能性が高い。だからこそ、いのちの電話には大きな意味がある。悩みを打ち明けられる場があることこそが、何より重要なのです」

 絶望を訴える電話が鳴る限り、受話器を取り続け、それを受け止める人がいる──いのちの灯を消さないために、今日も6000人が誰かの話に耳を傾けている。そのことを、私たち一人ひとりが、正面から考える時期に来ているのではないか。

【相談窓口】
「日本いのちの電話」
ナビダイヤル0570-783-556(午前10時~午後10時)
フリーダイヤル0120-783-556(毎日午後4時~午後9時、毎月10日午前8時~翌日午前8時)

※女性セブン2020年12月3日

1970年代には全国各地から集団就職が盛んに(写真は上野駅)

1970年代には全国各地から集団就職が盛んに(写真は上野駅)

関連キーワード

関連記事

トピックス

実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン