中国への態度はどうか。
「彼は、中国はいまやアメリカの競争相手になったと公言している。トランプ大統領が同盟国との関係を悪くしたために、中国に付け入る隙を与えてしまったとも言っている。一方、日本との交渉というのは、常に忍耐を必要とする。簡単には決まらない。議院内閣制と大統領制の違いもあるが、そういう交渉はブリンケン氏に向いているだろう。そして、日本はいったん約束すれば必ず守る美徳を持っている国だ」
日本人としてはホッとする話だが、この元高官は尖閣問題については大きな懸念があると指摘した。
「バイデン政権にとって、中国の海洋進出は大きな懸案になる。沖縄周辺の海域も対象になるので、日米は共同して対処する必要がある。尖閣諸島は南シナ海より危険だ。日本の自衛隊は、尖閣防衛のための演習をしていない。国内の反対論もあるのだろう。それに対して、中国は戦争をよく知っている。南シナ海よりたやすく奪取できると考えるかもしれない。
それはアメリカにとっても好ましくない。この問題でバイデン政権が中国に妥協して日本を見捨てるようなことはない。バイデン氏もブリンケン氏も、東アジア政策についてはオバマ政権の方針を大きく変えないだろう。オバマ大統領が常に言っていたのは、アメリカ、日本、インドの連携で中国を抑え込むということ。日本は、バイデン政権との関係構築と同時に、インドとの連携を急ぐ必要があるだろう」
アジア外交に関しては、巷間言われるような、バイデン氏が安易に「パンダに抱きつく」ようなことはなさそうである。ただし、ブリンケン国務長官を筆頭に、日本にとってはなかなか手ごわい交渉相手が揃うようだ。