国際情報

「バイデンはパンダに抱きつく」説を国務省元高官に直撃

バイデン氏がファミリービジネスで中国と近いことは事実だが(AFP=時事)

バイデン氏がファミリービジネスで中国と近いことは事実だが(AFP=時事)

 アメリカでは、ようやく政権移行の手続きが始まり、バイデン政権発足に向けて動き出した。日本にとって気になるのは、大統領選挙でトランプ陣営からさんざん追及されたバイデン氏と中国の蜜月である。尖閣問題などで利害が対立する中国とアメリカが接近すれば、日本はどうなるのか。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏が、バイデン政権の対中政策について国務省の元高官を直撃した。

 * * *
 ジョー・バイデンという人は、存外、芯の強い政治家かもしれない。45歳の時に脳動脈瘤の手術を受け、生死の境をさまよった。議員活動を続けることも危ぶまれたが、政界に復帰してからは上院外交委員長などの要職を歴任し、オバマ政権では8年間、副大統領を務めた。

 今回の大統領選挙では、トランプ氏から、脳の手術をしたが頭は大丈夫か、クスリで元気に見せかけているのではないか、などと挑発され、「Sleepy Joe(寝ぼけたジョー)」と呼ばれ続けた。それに対し、バイデン氏は汚い言葉は使わず静かな戦いを貫く、いわゆる「ローズガーデン戦略」で応じた。最終的にアメリカの有権者はバイデン氏を選んだのだから、この戦略は奏功したと言うべきだろう。

 筆者は、バイデン氏が上院外交委員長の時にオフィスで会ったことがある。懐刀の秘書と話し込んでいるとバイデン氏がひょっこり現れ、簡単な会話をした程度だったが、穏やかで真面目な人柄を感じた。その時に、日本に大いに興味を持っている、日本から学びたいことがいろいろある、と語っていたことも印象に残った。

 そのバイデン氏が発表した新しい外交チームに対して、共和党は早くも攻撃態勢を取っている。要の国務長官にアントニー・ブリンケン氏、国家安全保障担当補佐官にジェイク・サリバン氏、国連大使にリンダ・トーマス・グリーンフィールド氏を充てる陣容に対し、共和党のトム・コットン上院議員は、「彼は今やパンダ・ハガー(パンダに抱きつく人=親中派)に囲まれており、中国に甘い顔をしたいという衝動が増すばかりだろう」と揶揄した。反中で知られ、共和党の次世代のリーダーであるマルコ・ルビオ上院議員も、「アメリカの衰退につながる」とこき下ろしている。

 この評価は妥当なのだろうか。もし本当にバイデン政権が中国寄りであるなら、尖閣問題を抱える日本にとっては脅威になる。国務長官になるブリンケン氏はバイデン氏の側近として長く盟友関係にあったが、対中政策については親中派という説と反中派という説があり、はっきりしない。間違いなく言えるのは、誰もが認める実務家としての能力と粘り強い性格である。ブリンケン氏をよく知る国務省の元高官に話を聞いた。

「ブリンケン氏は、重要案件は部下ととも徹底的に研究し、調べ、戦略をじっくり練ってから交渉にあたる。相手を脅したり押さえつけたりする強引な手法はあまり好まず、粘り強く話し合うタイプだ」

関連記事

トピックス

大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉のビジネス専門学校へ入学しようと考えていたという
「『彼女がめっちゃ泣いていた』と相談を…」“背が低くておとなしい”浅香真美容疑者(32)と“ハンサムな弟”バダルさん(21)の「破局トラブル」とは《刺されたネパール人の兄が証言》
約2時間30分のインタビューで語り尽くした西岡さん
フジテレビ倍率2500倍、マンション購入6.2億円…異色の経歴を持つ元アナ西岡孝洋が明かす「フジテレビの看板を下ろしたかった」本当のワケ
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
医師がおすすめ!ウイルスなどの感染症対策に大切なこととは…?(写真はイメージです)
感染予防の新常識は「のどを制するものが冬を制する」 風邪の季節に注意すべき“のど乾燥スパイラル”とは?
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン