「原監督は2次政権の頃から亀井の能力を高く買っていたし、昨年や今年の活躍を見て、日本シリーズにも欠かせない選手だと考えたのでしょう。しかし、20代の脂の乗ったレギュラー選手なら復帰即スタメンは納得できるが、38歳のベテランになって2か月近く実戦を離れると、試合勘を取り戻すのに時間が掛かるもの。
実際、亀井は日本シリーズ前、若手主体のフェニックスリーグに出場したものの、7試合で21打数3安打、打率1割4分3厘の成績しか残せていなかった。いくらシーズン序盤の貢献度が高くても、試合で結果を残せない選手を日本シリーズで6番・指名打者(DH)で先発出場させるには無理があったのではないか。ソフトバンク投手陣の速球に、復帰明けのベテランがどこまで付いていけるか未知数だった」
亀井は1~3戦でスタメン、4戦は9回に代打で出場するも、最後の打者となってしまった。4試合で9打数ノーヒット。そのうち5度は走者を置いた場面での打席だった。
「今シリーズの象徴的な場面として、第1戦、巨人が2点リードされた4回裏無死一、二塁から丸佳浩が併殺打を打ったシーンがクローズアップされます。ただ、2死三塁から亀井が打っていれば、不調の中軸を助けられた。実際、近年の亀井はそのような役割を見事に果たしていて、首脳陣の信頼を勝ち取っていた。いわば、原監督は亀井起用の成功体験の味を覚えていたのでしょう。しかし、今シリーズでは結果が出なかった。亀井本人の問題というより、ケガ明けでフェニックスリーグでも結果を残せていないのに、起用した監督の責任です」
ソフトバンクが左腕のムーアを先発させる第3戦も、原監督は亀井を7番・レフトで先発させた。しかし、セカンドゴロ併殺打とファーストゴロに終わり、3打席目に向かう前に代打・若林晃弘が送られた。亀井と同じ外野手で、日本ハムから移籍してきた右打者の陽岱鋼や石川慎吾はベンチ入りすらしていなかった。
「何らかの事情があるのでしょうけど、もう少しパ・リーグ出身選手を使っても良かったのでは。打撃のいい捕手の大城卓三をDHに回して、一昨年まで西武に在籍していたベテランの炭谷銀仁朗をスタメンで起用すれば、もう少し違った展開になったかもしれない。