第1シーズン後半に彼女が登場すると、万木家の雰囲気はまさに朝顔がパーッと咲いたように、明るくなった。一般家庭でもそうかもしれないけれど、子どもの存在とはそれまでの家庭になかった空気を与えてくれる。つぐみは“ミス我が家”となり、万木家の進む方向を明るく照らしているのだ。
それまで割と固いイメージだった平も「じいじ、抱っこ!」と言われれば「オッケー」と、うれしそうに……いや……執事かのように、孫を抱き上げていたシーンをいまだに忘れない。時任三郎と言われると、寡黙で男っぽいイメージの俳優だったけれど、この1シーンで覆ってしまった。
つぐみにとっての曽祖父・嶋田浩之(柄本明)も同じだ。娘(朝顔の母)を亡くして、田舎で一人住まいをする浩之にとって、つぐみの存在は大きい。第2シーズン第5話でも、ひ孫にデレデレという様子の満面の笑顔で、とうもろこしを一緒に収穫していた。その様子は田舎町で見かける風景そのもの。小さな子どもがいる家庭なら、つぐみを囲む家族が自分たちの姿だと思って見ると面白いかもしれない。
子役たち自らが発信するSNSが癒しのカギに
そんな大人たちに囲まれた柚凪ちゃんの演技は自然だ。「うん!」というちょっとした相槌から「ママ〜? 手洗ってきてくださぁい」など、セリフなのか、普段の会話なのか分からなくなるほど、本当に自然に演じている。まだご本人もつぐみと同じ、たったの5歳。まだこの世に生まれてたった5年で、大人顔負けの演技をする姿、これを“才能”と呼ぶ以外に思い当たる言葉が見つからない。
そして柚凪ちゃん自身が、キャストから愛されているということを番組公式SNSでも知ることができる。公式ツイッターでは上野樹里さんのことを、演技以外でも「ママ」と呼ぶ動画が流れ、インスタグラムも多くは柚凪ちゃんで染まっている。これも、一般家庭で両親、祖父母たちがスマホで撮影する写真が、ほぼ子どもや孫で埋まってしまうことと同じだ。