一方、新潟大学医学部名誉教授の岡田正彦医師が語る。
「正直、私はどれも打ちたくありませんし、家族にも打たせたくありません。臨床データが不足していて、副反応で人体に何が起こるか全くわからないからです。
本格的な研究が始まってようやく半年経ったばかり。インフルエンザのように5年、10年と時間をかけて接種後をフォローするのが本来のワクチン開発なのに、そういう議論がなされないまま議論が突き進んでいる」
前述の通り、アンケートではまだ治験段階のアンジェスなど日本製が「医師が接種したいワクチン」1位となった。その理由について、奥野氏はこう推測する。
「従来、日本のワクチンは海外製に比べて副反応のリスクが圧倒的に少ない。欧米は多少の副反応が出ても許容され、それより有効率の高さを求める意識がある。安全性を第一に求める日本人医師の志向の現われではないか」
この結果について医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師の見方は厳しい。
「数万人単位の臨床試験を実施する欧米のワクチン開発と比べて、日本では数百人単位の臨床試験しかやってきませんでした。ノウハウがなく、信頼されていません。日本製ワクチンを使いたい医師がいるのは世界で日本だけでしょう。現段階ではどのワクチンも安全性のデータがあるとは言えず、横一線の印象です」
治療現場の実態を知り、最新研究への知見を深めることが、いざ自分が罹患した時の備えになる。
※週刊ポスト2020年12月18日号