芸能

黒沢年雄 バラエティ番組に出る理由とスターとしての使命

黒沢年雄がバラエティ番組などにも出演する理由とは

黒沢年雄がバラエティ番組などにも出演する理由とは

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏が、俳優の“言葉”について綴る週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優・黒沢年雄による“バラエティ番組”に関する言葉を紹介する。

 * * *
 黒沢年雄は近年ではバラエティ番組の出演や講演など、映画やドラマ以外の仕事も精力的におこなっている。

「俳優になって、徐々に気づいたの。俺はこのままだったら絶対に消える、と。

 なぜかというと、人より優れているものが一つもないから。顔、芝居、歌。上には上がいる。高倉健さんのあの存在感、あの声。三船敏郎さんの豪快さ。加山雄三さんの育ちのよさ、歌の上手さ、ギター。これはもう敵わない。それなら、俺にしかできないキャラクターを作ろうと思ったんです。帽子もそう、ひげもそう。誰もやらないことをやろうと思った。黒沢年雄カラーを作ろうと。

 だから俺は俳優もやるし、歌もやるし、バラエティ番組も出る。講演もやる。だから七十六歳になっても、こうやって仕事をもらえているんですよ。

『バラエティ? あんなバカバカしいことやってられるか』と文句を言う俳優もいますよ。でも、文句言ってたら食えない。それが一番嫌いなタイプ。

 人に笑われようが、それでも役者なんですよ。バラエティ番組だって、演技すれば役者。演技するためにこの世界に入ったのなら、どこで演技したっていいじゃない。そもそも映画も芝居も話が来ないんだから。その発想の転換ができないと。

 最初はバカにされましたよ。バラエティ番組に出れば『映画俳優なのに』。講演も九十分の時間をしゃべりきることができなくて、苦情が来ました。でも克服するんです。恥をかきながらね。それが俺の生き方で、今日に至っているわけです」

 インタビューをしていて気づいたのは、スターに憧れて映画界に入り、若い頃から東宝で主役級を演じてきた矜持を、今も黒沢は保っていることだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
連敗中でも大谷翔平は4試合連続本塁打を放つなど打撃好調だが…(時事通信フォト)
大谷翔平が4試合連続HRもロバーツ監督が辛辣コメントの理由 ドジャース「地区2位転落」で補強敢行のパドレスと厳しい争いのなか「ここで手綱を締めたい狙い」との指摘
NEWSポストセブン
伊豆急下田駅に到着された両陛下と愛子さま(時事通信フォト)
《しゃがめってマジで!》“撮り鉄”たちが天皇皇后両陛下のお召し列車に殺到…駅構内は厳戒態勢に JR東日本「トラブルや混乱が発生したとの情報はありません」
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《過激すぎる》イギリス公共放送が制作した金髪美女インフルエンサー(26)の密着番組、スポンサーが異例の抗議「自社製品と関連づけられたくない」 
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト