国内

公園や公民館を占拠する「シルバーモンスター」にどう向き合うか

緊急事態宣言時は公園の遊具も使用禁止になるなどした(AFP=時事)

緊急事態宣言時は公園の遊具も使用禁止になるなどした(AFP=時事)

 新型コロナウイルスに感染した場合、重症化リスクが高いのは持病を持つ人や高齢者だと言われている。彼らが感染しないように気を遣うのは正しいことであって、それに面と向かって反対できる人は少ないだろう。それにつけこんで、モンスタークレーマーに変貌している高齢者、シルバーモンスターが出現している。ライターの宮添優氏が、シルバーモンスターによって不自由を強いられている人たちの不満と不安についてレポートする。

 * * *
 埼玉県某市の街角にある、市営公園。今年9月ごろまで、たくさんの子供達や近隣住人で賑わっていた。といっても、このコロナ禍である。マスクをして、それなりの距離を保ちながら、なかなか自宅から出られない鬱憤を、今すべき方法をとりつつ吐き出していたのである。そんな公園から子供達の元気な声が消えたのは、10月に入ってからのこと。近くに住む地域の子供会関係者が声を潜める。

「コロナが再拡大して、今回は子供にも感染した、というニュースがあったでしょう? 老人会の方が、公園で子供遊ばせるな、老人がどうなってもいいのかとすごい剣幕でやってくるんです」(子供会関係者)

 思い返してみれば、4月ごろにも、全国各地で似たようなことが起きていた。こんな時期なのに子供が外で遊んでいると警察に通報する人、近くに保育園や幼稚園、小学校があって、子供達から感染拡大するのではないかと学校や役所にクレームを入れる近隣住人。そんな人々の大半は中高年と呼ばれる層でもあった。夏から秋にかけ、コロナ感染者も減り、そういった騒ぎもなりを潜めていたが、再びの感染拡大とともに馬脚を現し始めた、ということか。

「以前より圧力はすごいです。昼間の公園に子供達がいったところ、高齢者の方数人で張り紙をされていて、そのまま追い返されたと泣きながら帰ってきたんです」(子供会関係者)

 張り紙には「子供がウイルスを拡散させている」といった旨の主張が書かれており、20才以下の子供の使用禁止、と書かれていた。高齢者のうちの一人は、子供達に向かって「今度公園に来たらお父さんとお母さんに言いつける」とまで言ってのけたという。子供の親は、高齢者のあまりの傍若無人ぶりに腹が立ち、涙を見せながら抗議したというが……。

「その公園、以前は子供達が野球やサッカーをしていたのですが、コロナになって以降、全てのボール遊びが禁止になりました。市に問い合わせても、地域住民からの要望があった、としか答えてくれない。なのに、お年寄りのゲートボールはOKなんです。理由は『危なくないから』。公園は老人に乗っ取られたのです」(子供会関係者)

 コロナをきっかけに子供達の居場所がなくなった、という例は他にもある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン