芸能

ミスター紅白、弦哲也氏「本当はステージに立ちたかった」

NHK紅白歌合戦で歌われた曲数、歌唱回数で1位を記録する作曲家・弦哲也氏

NHK紅白歌合戦で歌われた曲数、歌唱回数で1位を記録する作曲家・弦哲也氏

 過去70回の歴史があるNHK紅白歌合戦。そこで歌われた楽曲について、作曲家別に“歌われた回数”を集計。すると、曲数でも歌唱回数でも第1位となったのが、日本作曲家協会会長の弦哲也氏だ。提供曲は昨年まで、紅白において30年連続で歌われ続けている。弦氏に紅白への想いを訊いた。

 * * *
 僕はもともと紅白に出られるような歌手を目指して東京に出てきたんです。でも10年以上、全く売れなかった。1971年に長男を授かりますが、生後4か月で千葉の両親に預けざるを得ないほど生活に困窮していました。やがて作曲も手がけるようになり、棋士の内藤国雄さんに書いた『おゆき』が1976年に初ヒット。これでようやく一緒に暮らせると、息子を迎えに行った時は5歳になっていました。

 親子3人の生活が始まってからは「辛いこともあるけれど、夫婦や家族で頑張っていれば、いつか幸せがやってくる」という歌ばかりを書くようになりますが、そのうちの1曲が川中美幸に提供した『ふたり酒』。その歌が1981年に自分の楽曲として初めて紅白で歌われた時は感動しましたね。

 本当はあのステージに立ちたかった自分に代わって、川中美幸という歌手が全国の皆さんに僕のメロディを届けてくれた。その様子を家族と一緒にテレビで観ることができたのですから、あれほど嬉しかった大晦日はありません。

 1986年からは作曲活動に専念しますが、その年に紅組のトリで歌われたのが『天城越え』です。あの作品は石川さゆりにそれまで歌ったことのない世界に挑戦してもらおうということで、作詞家の吉岡治さんたちと一緒に歌の舞台を旅したことから生まれました。我々はあえて難しい歌を作ったのですが、彼女は情念のこもった見事な歌唱で僕らの期待に応えてくれた。そのインパクトが大きかったのでしょうね。

 年が明けると、ターゲットとして想定していなかった10代や20代の女性もカラオケで歌うようになった。今でも多くの方に歌われ続けているのは、歌そのものの生命力もあるのでしょうけど、そういった方たちに育ててもらったおかげではないかと感謝しています。

関連記事

トピックス

今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・イメージ 写真はいずれも当該の店舗、販売されている味噌汁ではありません)
《「すき家」ネズミ混入味噌汁その後》「また同じようなトラブルが起きるのでは…」と現役クルーが懸念する理由 広報担当者は「売上は前年を上回る水準で推移」と回答
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン