「女優として、ドラマ、CM、グラビアなど多岐に渡って活躍する吉岡さんですが、2016年からJ-WAVEの『UR LIFESTYLE COLLEGE』でナビゲーターを務めるようになりました。吉岡さんはそもそも音楽に造詣が深いというより、意外と思われるかもしれませんが、芸術全般に対し、昔から強いこだわりを持って探求するタイプであったようです。
学生時代からつかこうへいや唐十郎などの本格的な演劇に没頭し、歌舞伎や能といった日本の伝統文化への興味も旺盛だったと聞きます。カメラマンの父の元で育ったという環境も大きかったのでしょう。芸術への理解は人一倍高く、本物志向なところがあるのです」(名鹿祥史氏)
そんな彼女が『レコ大』の総合司会を務めることについて、名鹿氏はこう期待を寄せる。
「吉岡さんは当然音楽に対しても他の芸術と同様、流行りに流されず、自分の好きなものを探求していたのでしょう。前述のラジオ番組でも、音楽に対する吉岡さんの姿勢がリスナーに好感を持って受け入れられています。
話し口調もラジオで聞くと癒しそのものでなかなかいいのです。綺麗どころのタレントにありがちな、稚拙な感じもありません。話すスピードや声のトーンもすごく番組にマッチしていますし、アーティストや曲への接し方も真摯な感じがして好感が持てます。
『レコ大』の司会抜擢は賛否両論あるとは思いますが、吉岡さんにとってはきっと情熱を持って取り組みたい仕事だと思います。ラジオでのトークを聞く限り、音楽への知識や引き出しなども豊富です。アーティストをリスペクトする気持ちも人一倍持っているでしょうし、プレッシャーはあるでしょうが、うまくこなすのではと思っています」
音楽ファンからは業界の利益を優先した出来レースとしてしばしば批判の矛先が向けられる『レコ大』だが、もしかしたら吉岡里帆が司会を務めることで、そのイメージや役割も変わっていくのかもしれない。だとしたら彼女を抜擢できたことは、むしろ『レコ大』にとって幸運だったと言うべきではないか。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)