それでもトランプ氏は、ジョージア入りのあとには6日にワシントンで「ワイルドな」集会を開くから集まるよう支持者に呼び掛けており、その際に戒厳令を出して米軍にホワイトハウスを警備させるという案まで出た。この日は連邦議会が正式にバイデン氏を次期大統領と認定する予定になっている。そこにぶつけて軍を動かし、「ワイルドな集会」を開くなど、クーデターを連想させる恐ろしいプランだ。
選挙の敗北を認められない大統領と支持者がデモを開いているうちにも、アメリカのコロナ禍は悪化し続けている。1月初旬までに、感染者は累計2000万人を超え、死者は36万人に達した。これはそれぞれ世界全体の約4分の1、約5分の1に当たる。アメリカの人口は世界のおよそ20分の1だから、世界一の技術大国、経済大国が世界で一番、コロナ対策に失敗している現状をはっきり示している。感染者数は2位のインドの約2倍、死者は2位のブラジルの約2倍である。トランプ氏は、ワクチン開発の成功を自らの成果だと強調するが、これだけ感染を拡大した責任には口を閉ざしている。
日本の対米外交関係者は、「トランプ支持者はバイデン政権を徹底的に攻撃するだろう。かつて、これほど厳しい環境で就任した大統領はいない。アメリカは当分、“トランプの幻影”に悩まされることになる。日本政府の対応も難しい」と語る。アメリカの迷走は、日本と世界にとってもコロナと並ぶ脅威であり続けるようだ。