国内

ベトナム人留学生がユニクロで起毛パーカを数百着購入した理由

2021年正月は店頭で福袋の初売りをしない店も多かった(時事通信フォト)

2021年正月は店頭で福袋の初売りをしない店も多かった(時事通信フォト)

 人気が高く品薄になっている商品を大量購入して売る「転売ヤー」は、最近ではすっかり嫌われ者だ。忌み嫌われているとはいえ、チケットなど特定の品目を除いて転売そのものは違法にはならない。特別な設備がなくとも個人で始められるため、ある人たちにとっては「転売ヤー」がセーフティネットになっているケースもある。ライターの森鷹久氏が、日本の正月を「転売ヤー」として過ごさざるをえなくなった、在日ベトナム人の胸の内を聞いた。

 * * *
 静かなお正月を──。

 旅行も、遊びに出かけることも「自粛」を求められ、かつてないほどに「人出」が見られなかった今年の正月。大多数の日本人は自宅に篭り、テレビなどを見て「静かに」正月を過ごしたようである。しかし、静かに過ごしていては生きていけない、という人々がいた。近ごろ何かと話題になることが増えている「在日ベトナム人」達である。

「ベトナム人には今、日本人から厳しい目が向けられています。もちろん、悪いことをする人はいますが真面目な人たちもいる。だから、悪いことをしなくて済むよう、余裕があったり、仕事がある私たちが、生活が大変なベトナム人を助けなければいけません」

 埼玉県内でベトナム料理店を営むファムさん(40代)は十数年前に来日し、日本人の妻と結婚。県内だけでなく東京や群馬のベトナム人コミュニティにも顔が通じており「頼れる兄貴」と慕ってくれる同胞もいる。そんな彼が今取り組んでいるのは、生活に困った同胞達の救済だ。

 昨年、技能実習生として来日するも、コロナの影響などで仕事が激減し、生活できなくなったという複数のベトナム人が、農家から豚などの家畜を盗み出し、無許可で捌いた疑いで逮捕された。農作物を盗み転売したベトナム人の存在も確認されており、その事実が日本国内のニュースなどで取り上げられると、日本人のベトナム人に対する感情が悪化。筆者も当時、犯行に加担したグループに近いベトナム人に取材をしたが、聞こえてきたのは「生きていかれない」とか「人を傷つけない方法だった」など、その弁解も一方的に断罪できないような悲痛なものであった。こうした背景が、それまで真面目に働き、過ごしてきたベトナム人にも悪影響を及ぼした。

「ベトナム人は悪いことをするかもしれないと、真面目な人たちもアルバイトを減らされたり、辞めさせられたりしたんです。ひどいと思いますが、日本人の気持ちもわからなくはない」(ファムさん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
会談に臨む自民党の高市早苗総裁(時事通信フォト)
《高市早苗総裁と参政党の接近》自民党が重視すべきは本当に「岩盤保守層」か? 亡くなった“神奈川のドン”の憂い
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
連覇を狙う大の里に黄信号か(時事通信フォト)
《大相撲ロンドン公演で大の里がピンチ?》ロンドン巡業の翌場所に東西横綱や若貴&曙が散々な成績になった“34年前の悪夢”「人気力士の疲労は相当なもの」との指摘も
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
マンションの周囲や敷地内にスマホを見ながら立っている女性が増えた(写真提供/イメージマート)
《高級タワマンがパパ活の現場に》元住民が嘆きの告発 周辺や敷地内に露出多めの女性が増え、スマホを片手に…居住者用ラウンジでデート、共用スペースでどんちゃん騒ぎも
NEWSポストセブン
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
亡くなった辻上里菜さん(写真/里菜さんの母親提供)
《22歳シングルマザー「ゴルフクラブ殴打殺人事件」に新証言》裁判で認められた被告の「女性と別の男の2人の脅されていた」の主張に、当事者である“別の男”が反論 「彼女が殺されたことも知らなかった」と手紙に綴る
NEWSポストセブン
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン