国内

2021年の教育分野 「共通テスト」の導入で始まる大改革

年明け早々に行われる大学入試の『共通テスト』は教育改革の第一歩(写真/PIXTA)

年明け早々に行われる大学入試の『共通テスト』は教育改革の第一歩(写真/PIXTA)

 コロナ禍で、生活様式が変わった2020年を経て、2021年はさらなる変化が予想される、特に教育の分野では。大学入試のセンター試験に代わって『共通テスト』がスタートするという、大きな動きがある。この『共通テスト』の導入は何をもたらすのだろうか。教育研究家の妹尾昌俊さんはこう話す。

「そもそも入試改革は、従来の4択やマークシートだけでは受験生の思考力や表現力が充分に試せないという議論の末、共通テストが発案され、当初は記述式や英語4技能のテストが予定されていました。ただ、100文字程度の記述式で本当に思考力等が判定可能かという疑問があり、最終的には見送りに。そのため“センター試験と変わらない”との見方もある一方で、さまざまな資料を読み解く力がより試される問題が加わるといった可能性があります」

 一方、教育ジャーナリストの後藤健夫さんは、受験生に次のようにアドバイスする。

「大学入学者は約62万人で、その5割近くがAOや推薦で入学先を確保する。にもかかわらず、共通テスト志願者は約53万人もいる。そうした状況を受けて、大学入試センターが、シンポジウムで『従来の平均点60点より少し問題を難しくする』と公表しましたから、受験生は心してかからないといけません。なお、『情報』が科目に加わるのは、2025年度入試からになります」

新学習指導要領とICTが改革加速

 大学入試が変われば高校以下の授業に影響が出る。2017年に改訂された新学習指導要領は、小学校には2020年度に導入されたが、中学校は2021年度に、高校は2022年度に導入予定だ。

「その根底にあるのは、大きく社会が変わる中で、必要とされる力が変わってきているという考えです。指示されたことをそつなくこなす力だけではなく、自ら考えて行動する力や情報活用力が求められています」(妹尾さん)

 こなす力と自ら考える力、両方が必要だが、前者を重視しすぎていた大学入試の改革を第一歩に、日本の教育改革が本格的に始動するわけだ。

「2021年度は、4月から小中学校で『GIGAスクール構想(※)』により、1人に1台のPC等が整備され、高校でも自治体によってはICT環境整備を始めます。この変化でPC等を活用すれば、コロナ禍で動画配信授業が浸透したようにICT教育が本格化し、先生の役割を一部機械が肩代わりする可能性も出てきます。教える側も教えられる側も、うまい使い方を考える端緒の年になるでしょう」(後藤さん)

※GIGAスクール構想とは、義務教育を受ける児童生徒のために、1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する5年間の計画。GIGAとはGlobal and Innovation Gateway for Allの略。

※女性セブン2021年1月21日号

ドリルのアプリなどを使えば、“個別の最適化学習”が可能に(写真/PIXTA)

ドリルのアプリなどを使えば、“個別の最適化学習”が可能に(写真/PIXTA)

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン