では孫氏はここから何を目指すのか。多くの人が指摘するのはウォーレン・バフェット氏との類似性だ。

「投資の神様」といわれるウォーレン・バフェット氏(AFP=時事通信フォト)

「投資の神様」といわれるウォーレン・バフェット氏(AFP=時事通信フォト)

 バフェット氏は世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、同社の会長兼CEOを務める。昨年には日本の五大商社の株式を、それぞれ5%ずつ取得したことで話題になった。バフェットが動けばそれにつられて株価が上下するほどの影響力を持っている。

 孫氏は10年ほど前から「群戦略」を唱えている。これは、将来性のあるIT企業に出資することで、ゆるやかな連合体を築こうというものだ。すさまじいスピードで技術革新が進むIT業界では、昨日の勝者が明日は敗者になるかもしれない。

 現に、1990年代に出資したアメリカのヤフーは、一時、孫氏にとって金の卵を産むニワトリになったが、その後グーグルとの検索競争に敗れ、ほぼ姿を消している。そこで孫氏は、数多くの会社に少数株主として参加すれば、時代の変化、社会の変化に対応できると考えた。

 実際、日本のソフトバンクなど一部を除くと、SBGが支配権を持つ企業は極めて少ない。アメリカの携帯電話市場を変えると意気込んで買収したスプリントもTモバイルと合併したことでSBGは第2位株主となった。

 また、5年前に3.3兆円で買収した半導体設計大手アーム社も、NVIDIAに売却することが決まっている。その一方でSBGはNVIDEAの株式の一部を受け取ることになる。

バフェット氏との“決定的な違い”

 このような、広く薄く投資する孫氏の姿はバフェット氏と重なる。しかし、孫氏とバフェット氏には決定的な違いがある。それは借金の多さだ。

 いまSBGの有利子負債は20兆円に迫る。そのため1年前のように投資戦略の失敗や株式の下落によって赤字を出すと、アリババなどの持ち株を売って資金手当てをしなければならない。

 一方、バークシャーは事実上の無借金経営のため、株式市場の下落は絶好の投資チャンスとなる。つまり孫氏がバフェット氏を目指すためには、借金返済に邁進しなければならない。

 孫氏は創業以来、常に借金とともに生きてきた。借金によって事業規模を拡大してきたのがSBGの歴史でもある。そんな孫氏だが、10年ほど前に借金完済を目指したことがある。

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