ビジネス

ローカル鉄道のネコ型駅舎、ユネスコ無形文化遺産「檜皮葺」を継承する意味

檜皮葺の屋根に生まれ変わった貴志駅は猫をイメージした姿

檜皮葺の屋根に生まれ変わった貴志駅は猫をイメージした姿

 世界遺産に指定されると文化的な意味はもちろん、その地域の観光産業にも大きな恩恵をもたらす。ねこの「たま駅長」で一躍、その存在を知られるようになった和歌山電鉄「貴志駅」は、昨年末にユネスコの無形文化遺産に指定された技術を生かした駅舎でもある。その無形文化遺産の技術が使われるにあたって、たま駅長の存在が大きな役割を果たしていた。ライターの小川裕夫氏がレポートする。

 * * *
 世界遺産といわれると、まず、日本国内なら法隆寺や東大寺、姫路城といった歴史的建造物が思い浮かべるだろう。だが、歴史的価値があるのは古い建造物だけではない。ネコの「たま駅長」でブームを巻き起こした、和歌山県和歌山市と紀の川市を走る和歌山電鉄の貴志駅にも、2020年12月にユネスコの無形文化遺産に登録された「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」が使われている。

「貴志駅は2010年に建て替えることになりましたが、和歌山電鉄の車両デザインを担当してくれている工業デザイナーの水戸岡鋭治さんに新駅舎のデザインを描いてもらいました」と話すのは、和歌山電鉄の広報担当者だ。

 和歌山電鉄は和歌山駅─貴志駅間を結ぶ約14.3キロメートルの鉄道で、2006年までは南海電鉄の一路線だった。しかし、南海は不採算路線を理由に貴志川線の廃止を表明。沿線住民や沿線自治体が存続を模索し、岡山県の岡山電気軌道が新たに貴志川線を運行することになった。貴志川線は新たに和歌山電鉄として再出発した。

 その後、和歌山電鉄の貴志駅に住み着いていたネコのたまが話題となり、全国から多くの観光客を呼び寄せるまでになった。沿線活性化に貢献したとの理由から、たまは駅長に就任。長らく活躍したが、2015年に死去。現在、貴志駅は2代目のたま「ニタマ」が駅長を務めている。

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン