ライバル車と比較した「積載力」
では、N-WGNは魅力のないクルマだったかというと、それはまったく違う。「こんなに高機能でスぺ―シーで疲れの少ないクルマが136万円だなんて、上等すぎるわ」というのが4000kmあまり乗ってみての最終的な感想だった。
すごいと思った第1のポイントは、貨客の収容力である。
N-WGNは後席スライド機構を持ち、荷室と客室の比率を変えられるように作られている。が、今どきのトールワゴンではシートスライドは当たり前。ダイハツ「ムーヴ」、スズキ「ワゴンR」、日産「デイズ」といったライバルが軒並み左右独立型のスライド機構を備えているのに対し、N-WGNは左右席一体でしかスライドできない。
一見、機能で負けているように思えるが、旅の途中で荷室の具合をちょっと確認してみようと思い、後席を一番前に出してみて驚いた。筆者が長期旅行用に使う奥行き50cm、高さ80cm、厚さ28cmのトランクがそこにすっぽり横積みできたのである。室内長に余裕のあるスーパーハイトワゴン以外で後席に人が乗車できる状態を保ちながらこれだけの積載力を持つモデルに初めてお目にかかった。
先進運転システム搭載でコスパ最強
第2はこの価格で「ホンダセンシング」と銘打つADAS(先進運転支援システム)が全車速対応の前車追従クルーズコントロール、ステアリング自動制御ありの車線維持アシストを備えていることだ。高速道路や自動車専用道路を走るうえで、便利なことこのうえなかった。
今回はお世話になる機会はなかったが、N-WGNのADASは夜間でも歩行者や路肩にいる自転車も検知するのだという。この価格でミリ波レーダーと単眼カメラの複合システムを全車標準装備としていることに、ホンダのユーザーサービスへの気合と時代の流れを感じた次第だった。
第3は、ADAS以外は簡素な装備レベルながら、ドライブ中に「あれがあったらいいのにな」「何かが足りない」などと不満に思うシーンがほとんどなかったことだ。
エアコンはオートだし、雨が降っている時も間欠ワイパーのインターバル調整ができるようになっている。メーターパネル内の情報表示部にはトリップメーターがA、Bの2種類表示可能で、さらに平均車速と平均燃費のデータもA、Bそれぞれに紐づけて表示される。長距離旅行時の自分のペースや経済性を知るのに実に良いあんばいだった。