ここで自分が強く生きてきた証が発揮されると思いました。私は誰にも頼らず生きてきました。たかの友梨の辞書に「依存」という言葉はない。いつどんなときも自分で考えてきましたから、ここでもしっかりと時代を見据えて、行動しないといけない。
まず何をしたかというと、オンラインエステを始めました。通常のように体に触れて行うエステとは違い、お客様とお電話で「お元気ですか? いかがお過ごしですか?」とお話しするわけですが、それでも長らく「たかの友梨」を愛してくださったかたがたは、「気にかけてくれてうれしかった、ありがとう。オープンしたら、真っ先に行くわね」とおっしゃってくださいました。ああ、やってよかったと。きれいになることで気持ちも前向きになる。コロナ禍こそ、美容の力は絶対に必要だ、と信じてやってきました。
〈ここでいう「オンラインエステ」は、公式なエステコースではない。これまで「たかの友梨」を利用してきた顧客に対して、電話をかけ、話を聞くことで心のケアを行う独自のサービスだ〉
そして緊急事態宣言まっ只中の5月、私はそれまで通販専門チャンネル「ショップチャンネル」に出演していましたが、「QVC」(*編集部注/24時間テレビショッピングを放送する専門チャンネル)に活動の場を移しました。そこで第1弾に販売したのが美容成分配合のオールインワンファンデーション「ジュエリーパクト」です。
QVCのスタッフさんは「ステイホーム期間でファンデーションは売れるのでしょうか?」とやや懐疑的におっしゃっていましたが、私は「任せてください」と答えました。自信があったからです。
このファンデーションは美容液効果があり、クリーム感覚で使えます。何も塗らないと、肌はどんどん角質が厚くなって、硬くなっていく。家にいても、女性はやはりきれいでいたいはずですから、肌を手入れするような感じで、このファンデーションを塗ってください──放送ではそうお話ししました。すると想像以上の反響があって、即完売。発売から1年半以上経ちましたが、現在、販売数75万個の大ヒットを記録しました。
コロナ禍で在宅時間が増え、外出の機会が減ったからといって、「美しくありたい」という女性の気持ちが衰えることはない。むしろ、自分と向き合う時間が増えただけ、自分の魅力をもう一度確認して、この機会にさらに磨きをかけよう、という意欲があることが実感できました。女性はいつも、美に対して貪欲ですし、だからこそ、私たちはそれを応援したい──そう思ったのです。
【プロフィール】
たかの友梨(たかの・ゆり)/美容家。不二ビューティ(たかの友梨ビューティクリニック)会長。エステティックセラピスト協会会長。1978年に「たかの友梨ビューティクリニック1号店」をオープン。現在、全国87店舗を展開。「ミス・ユニバース」の審査員を務めるなど美のカリスマとして日々、活躍中。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2021年2月18・25日号