芸能

高田文夫氏が語る三遊亭小遊三 「のれんに腕押し」的に生きる男

小遊三の好きな言葉は「寝ていて転んだためしなし」と「ハードルは高ければ高いほど下をくぐりやすい」だという

小遊三の好きな言葉は「寝ていて転んだためしなし」と「ハードルは高ければ高いほど下をくぐりやすい」だという

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、『笑点』(日本テレビ系)の大喜利に1983年からレギュラーとして出演している落語家の三遊亭小遊三について綴る。

 * * *
 国民的番組などと呼ばれる『笑点』の陽気なドロボーキャラ。自らを「アラン・ドロン」と言っているが、いかんせん古い二枚目だ。三遊亭小遊三、本名を天野幸夫という曲者。何しろ軽くて洒脱な生き方。「のれんに腕押し」的で「糠に釘」チックな人生(よく分からない)。同世代なのでつきあいもやたら古い。

 1970年代後半、世にも出ず、くすぶっていたビートたけしと私は、よく新宿でも呑んでいた。私はいつも夜電話で小遊三と米助を呼び出し、毎夜愚痴のように「どうやったら売れるのかねぇ」「○○なんて面白くねぇのに何で売れてんだ」。あまりいい酒ではない。

 まだ「世界の」でもなく、「笑点の」でもなく、「隣の晩ごはん」でも「センセ」でも何者でもなかった、夜明け前のほんの数年の話だ。

 1980年になると“漫才ブーム”がやってきて、ビート君は時代の寵児(ちなみにビートの新刊は『弔辞』だ。ここで宣伝を入れときゃあの人も喜ぶだろう)。私も少し忙しくなり、深夜に『らくごin六本木』という番組を企画し構成・司会。そこから飛び出したのが小遊三・米助。

 私の全面バックアップ、圧倒的な裏工作で1983年には小遊三が抜擢の真打昇進。スポーツマンだし明るいしだしで「落語低迷の時代」(落語ブームなぞこのずっとあと)にもかかわらず脚光を浴び、私が作るバラエティでは、まだ世に出る前の西の明石家さんまの野球形態模写(小林繁)に対抗して、東の小遊三「ヤクルト安田の投球フォーム」、「江川卓のランニング」などでバカうけであった。

 東京五輪では聖火ランナー、そして明大卓球部。抜群の運動神経で落語界も泳ぎまわり“落語芸術協会”では歌丸会長、小遊三副会長の時代が長く続き、歌丸亡きあとはてっきりそのまま小遊三が会長に昇りつめるのかと思いきや、出世欲はなく性欲だけはある男。スッと昇太に会長の座をゆずり、当人は楽隠居をきめ込んだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン