芸能

『おちょやん』 一本調子だった杉咲花を「弟」が変えた

浪花千栄子の生涯を知るテレビ関係者は、今後の展開にハラハラしているという(写真/共同通信社)

竹井千代を演じる杉咲花(写真/共同通信社)

 視聴率の推移をみるに必ずしも順調とは言い難かった朝ドラだが、ここにきて物語が大きく動き始めた。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 主演女優がわざわざ、長丁場の朝ドラについてこんな呼びかけをしました。

「12週。是非、是非観てもらいたいです。大切な回になりました」。

 ちょっと異例なことでしょう。率直な思いをインスタで発信したのは、『おちょやん』で主人公・千代を演じる杉咲花さんです。役者にとってはすべての週が勝負だろうと思いますが、たしかに「今週」の朝ドラは重大な転換点にさしかかっていました。

 12週のタイトルは「たった一人の弟なんや」。

 子どもの時に別れ別れになり行方不明だった千代の弟・ヨシヲ。可愛い弟の記憶は、千代の生きる希望そのもの。辛い思いを乗り越えて女優業を続けているのも、ヨシヲに自分を見つけ出してもらう機会を作るため。つまり、弟は千代の存在理由の全てだった。

 その弟が突然目の前に現れたのです。立派に成長した姿で。

 神戸の不動産会社に勤めているというヨシヲは、七三に分けた髪と小こぎれいな背広姿。俄然注目を集めた青年ヨシヲ。いったい、演じているこの役者さんは誰? とザワめく視聴者。顔を見たことない若い男優さんだけど、新人にしてはあまりに役にハマッているし落ち着いている。

 ヨシヲは一見するとボンボン風で、会社員と言われればなるほどと納得する風貌。しかし、実はその正体はヤクザ者でした。「鶴亀をつぶして興行権を奪い取る」という策略で千代に近づくように上から指示されてやってきたのでした。

 胸に刻んだ入墨を見られて姉に正体がばれてしまうと、ヨシヲは思い切り姉を突き放しにかかる。

「今さら姉ぶるな!」
「あんたがおらんようになった何年たったと思うてんの? 会いたいとも何とも思えんかった」
「人のことなんかどねでもええねん。あほくさいわ」
「夢物語はもう聞き飽きた、ヘドが出る」
「どうなろうとかまへん」

 父に捨てられヤクザに拾われて命を長らえたのだから、グレてしまったのも仕方がない。人を信じたくても裏切られ続ければ人間不信になる。

 そう、環境が人を育てるのだ。ヨシヲを通して厳しい現実がヒシヒシと伝わってきました。

関連記事

トピックス

大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉のビジネス専門学校へ入学しようと考えていたという
「『彼女がめっちゃ泣いていた』と相談を…」“背が低くておとなしい”浅香真美容疑者(32)と“ハンサムな弟”バダルさん(21)の「破局トラブル」とは《刺されたネパール人の兄が証言》
約2時間30分のインタビューで語り尽くした西岡さん
フジテレビ倍率2500倍、マンション購入6.2億円…異色の経歴を持つ元アナ西岡孝洋が明かす「フジテレビの看板を下ろしたかった」本当のワケ
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
医師がおすすめ!ウイルスなどの感染症対策に大切なこととは…?(写真はイメージです)
感染予防の新常識は「のどを制するものが冬を制する」 風邪の季節に注意すべき“のど乾燥スパイラル”とは?
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン