国内

急増するフードデリバリーサービス せめて配達員の名前を表示させるべきではないか

フードデリバリーといえばサービス名の大きなロゴ入りバッグ(イメージ、AFP=時事)

フードデリバリーといえばサービス名の大きなロゴ入りバッグ(イメージ、AFP=時事)

 この1年ほどで、背中より大きな断熱デリバリーバッグを背負った配達員が街を縦横無尽に走り回る様子は日常の風景となった。バッグにはそれぞれのサービス会社のロゴがプリントされたものがあり、デリバリー会社がどこなのか一目で分かることは利用者の安心感を強める一方、会社名も配達員の名前もない場合もあり、それが時にトラブルの元になることもある。また、ロゴ入りバッグのために、言いがかりでしかない災難に見舞われることもある。俳人で著作家の日野百草氏が、ロゴがプリントされたデリバリーバッグをめぐる配達員たちの実態についてレポートする。

 * * *
「どこの配達員かなんてわかりませんから、泣き寝入りしかないです」

 新宿区の幹線道路、ドアミラーをボッキリ折られたという女性のメール。パーキングメーターに駐車して、戻ってくる間に折られたとのこと。彼女はその瞬間を目撃している。

「自転車の配達員でした。あの大きなバッグは間違いないと思います。でも一瞬の出来事で、それ以外はわかりません」

 メールの感じでは自転車に対して車が譲らず、当の自転車も意地を張ってすり抜けるはずがミラーに当った、というとこか。

「フードデリバリー(筆者注:あくまで彼女の憶測でしかないためフードデリバリーとした)のバッグも使わない悪質な配達員です」

 この認識には誤りがある。どのフードデリバリーも(一部例外は後述)、基本的にはその会社のバッグを推奨されてはいるが使わなくていいし、会社名の表示義務もない。雇用ではなく業務委託、どんなバッグを使っても明確な違反にはならない。メールの女性の指摘通り、「どこの配達員かなんてわからない」のだ。自転車にはナンバーもないから、姿かたち以外では何をされたってどこの配達員かなんて判断つかない。

「警察には届けたんですけど、進捗ないです」

 人身ならともかく、この程度の物損、当て逃げだと大抵の警察は頼りない。これはデリバリーに限った話ではないが、当て逃げ得の当てられ損だ。

ロゴなしバッグが配達員評価を左右する?

「勘違いする店とかありますよ、バッグ使ってないってね」

 デリバリーの指名待ちで店の近くに集まっている配達員たち、通称・お地蔵様たちに今回も話を聞いてみる。まずフードデリバリーアプリ最大手、ウ―バーイーツ(Uber Eats)の配達員(正式には配達パートナー)。

あわせて読みたい

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン