一方、別の見方もある。北朝鮮情勢に詳しいデイリーNKジャパン編集長の高英起氏が言う。
「金正日総書記は多くの女性を寵愛した。正男と正恩も異母兄弟で、それが激しい後継者争いにつながりました。しかし正恩に“側室”がいるという話は聞こえてこない。李夫人がたとえ長男の他に男の子を生んだとしても諍いにはならないのではないか。実際、正恩の実兄の正哲は政治から距離を置き、ギターを弾くなど音楽に傾倒する日々を送っているようです。
それより問題は、正恩の健康問題でしょう。昨年には心臓のカテーテル手術を受けており、健康不安説は根強い。長男が成人するまでに万が一のことがあれば体制は危うくなりかねない」
金正恩委員長が“子作り”をできる健康状態なのか──それも国情院の関心事なのかもしれない。
※週刊ポスト2021年3月12日号