参院選に自民党から立候補して当選(1995年、写真/時事通信社)

参院選に自民党から立候補して当選(1995年、写真/時事通信社)

私が橋本氏の友達なら、「会長になんかなるな、逃げろ!」と言うわよ。過去のアヤマチをほじくり返す人間もいるしね(私のように)。なのに、橋本氏は引き受けた。さすが五輪の申し子よね。

 橋本会長は「新編成の東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会は、女性理事の比率を40%にする」と言う。これには大賛成! そんな図を想像しただけでうれしくなっちゃう。

 でね。橋本聖子さんに提案があるの。会長になったんだから、森前会長の色を払拭しちゃわない? ちょっとずつ、なんて言わず、思い切ってズバッと。できたら、「森さんの手法はこうだったけど、私はこうします」と発表してくれたらいいんだけど、そこまでは望みすぎかしら……。

 昔はよく「会社や組織では“ほうれんそう(報告・連絡・相談)”が大切だ」なんていわれていたけど、イマドキは「こまつな」や「きくな」なんだってね。「こまつな」は「困ったら・使える人に(仕事ができる人に)・投げる(任せる)」。「きくな」は「気にせず休む・苦しいときは言う・なるべく無理しない」。

 そうそう、これよ。しょせん、おじいさんたちが尻に帆をかけて逃げ出した大役だよ。上手にアピールしながら、気張らず、やりたいようにやればいいんだって。

 橋本さんはプライベートでも大変だと思う。9才上の夫と6人の子供がいる。これ、大変なことでね。現職国会議員で妊娠を発表したのは2人目で50年ぶりだったというけれど、考えてもみてよ。人から絶えず見られている国会議員でありながら、家に帰れば、先妻の子を交えた大家族の喧騒──そんな毎日、並の神経じゃもちませんって。
 
 でも、これって大組織の長、っていうか、ビッグマザーの素質充分ってことじゃない?
 たしかにね、チュー写真はいただけないけど、一連の騒動を見ているうちに、気がついたら私はすっかり聖子ファンになっていたの。

 そうそう、「こまつな」や「きくな」のほかに、「ちんげんさい」っていうのもあるんだってね。「沈黙する・限界まで言わない・最後までがまん」──そんなの、絶対にダメ。片意地張ったおじさんのマネをしたって、いいことなんか何もないもの。

 とてつもない大役を引き受けた橋本さんに、私は心の中でエールを送っている。橋本さんの後に続いて、女性がどんどん政界に入って、国会の本会議場の色を、一般社会並みに変えてほしいな。

【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2021年3月18日号

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