芸能

芳根京子“泣き”の演技の凄まじさ 共演者らも「涙の魔術師」と絶賛

芳根京子

役者として進化する芳根京子

 北川景子(34才)が主演を務め、中村倫也(34才)を共演に迎えたサスペンス映画『ファーストラヴ』が2月11日より公開中だ。興行収入ランキングでは初登場4位につけ、公開から約1か月経った今も、週間ランキングでは5位と上位をキープしている。SNSなどでは、本作を観た視聴者の感動の声が多く見られるが、キーパーソンを演じた芳根京子(24才)の演技に特に注目が集まっている。映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんも「彼女の芝居には凄まじいものを感じた」と話す。

 * * *
 第159回直木賞を受賞した島本理生(37才)による同名ベストセラー小説を原作に、極上のサスペンスが展開する映画『ファーストラヴ』。重厚なラブストーリー『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017年)から少女コミックを原作とした『あのコの、トリコ。』(2018年)まで、幅広く映画作品のシナリオを手がけてきた浅野妙子(59才)が脚本を担当し、『十二人の死にたい子どもたち』(2019年)や『望み』(2020年)など、数々のサスペンス作品を世に送り出してきた堤幸彦監督(65才)がメガホンを取った。主演の北川や、中村、芳根のほか、窪塚洋介(41才)、板尾創路(57才)、木村佳乃(44才)らが適所に配され、魅惑の布陣となっている。

 物語は、女子大生・聖山環菜(芳根)が父親を殺害した容疑で逮捕されるところから始まる。取り調べに対する彼女の「動機はそちらで見つけてください」という挑発的な言葉が世間を騒がせる中、公認心理師の真壁由紀(北川)がこの事件を取材することに。由紀は、夫である我聞(窪塚)の弟で弁護士の庵野迦葉(中村)とともに環菜の本当の動機を探るため奔走するが、環菜の供述は二転三転していく。そんな彼女に対して由紀は、過去の自分と似た“何か”があると感じ始める。由紀の過去を知る迦葉の存在、そして環菜の過去の真実に触れたことをきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの“ある記憶”と向き合うことになる。

 こう記してみると、本作における芳根の役がいかに重責を負っているのか一目瞭然なのではないだろうか。主演は北川ではあるものの、彼女演じる由紀が仕舞い込んでいた“過去”や、“本当の自分”に向き合うきっけかけを作るのが芳根演じる環菜なのだ。殺人事件をきっかけに呼び覚まされる記憶とあって、由紀の過去がいかに深刻なものか想像できるだろう。そこへ環菜だけでなく、由紀の過去を知る迦葉、穏やかで懐の大きな夫の我聞らが絡み合ってくるのだ。

 原作を手がけている作家・島本理生の作品といえば、『ナラタージュ』(角川書店)や『Red』(中央公論新社)がこれまでに映画化され好評を博してきた。いずれも重厚な恋愛劇だ。本作も、タイトルから予想できるように恋愛劇の側面を持つが、最も強く強調されているのは、登場人物たちのぶつかり合いや、それぞれが抱えるトラウマに対峙するさま。そのキーパーソンを芳根が演じており、彼女が全身全霊で表現する環菜という人物こそが、本作に凄みを与えている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト